(※画像はイメージです/PIXTA)

金市場は、FRBの利下げや中央銀行の旺盛な購入、ETFへの資金流入など複数の強気要因に支えられ、価格の下方リスクを抑えつつ高水準を維持しています。その一方で、アジアでの高値による現物需要の抑制や米国経済の突出した成長によるドル高リスクなど、弱気要因があるのも事実です。11月の金市場動向から、高騰を支える要因と2026年の展開についてみていきましょう。なお、本稿はステート・ストリート・インベストメント・マネジメントの4名のストラテジストによる共同執筆です。

年明けには5,000ドルを目指す可能性も…11月の金需給動向

◆基本・弱気・強気いずれも“上方修正”…11月の金価格予想

基本シナリオの金予想価格を1オンス3,700~4,100ドル(確率50%)に上方修正し、強気シナリオでは同4,100~4,500ドル(確率35%)に引き上げました。

 

当社の見解では、弱気シナリオの予測上限である3,300~3,700ドル(確率15%)は「押し目買い」の領域で、これは金価格チャートのテクニカル分析と、9月のFRB会合後に、FOMO(取り残される恐怖)による資金流入がいったん整理されたことが根拠です。

 

当社が4月末に設定した前回の価格予測(基本シナリオ:3,100~3,500ドル、強気シナリオ:3,500~3,900ドル、弱気シナリオ:2,700~3,100ドル)は過去6ヵ月間変更されていませんでした。

 

◆来年には「5,000ドル」を目指す可能性も

2026年に金が1オンス4,800~5,000ドルを試す展開となっても驚きはありません。10月前半は金が「買われすぎ」状態にあった可能性がありますが、多くの指標で見ると、金はいまだに「組み入れが不十分」なポートフォリオ資産です。

 

世界の金ETFによる金保有量は2020年のパンデミック時の高水準を下回ったままであり、機関投資家のCOMEX金先物・オプションにおけるネットロングポジションも過去のピーク水準を大きく下回っています。

 

ポートフォリオ運用者が、7.3兆ドルという記録的な資産残高を抱えるマネーマーケット・ミューチュアルファンドから資金をシフトさせるのに伴い、金には追加的な投資資金の流入が見込まれます※1

 

FRBが政策金利を引き下げ、米国債のイールドカーブがさらにブル・スティープ化する可能性があることから、リスク管理が不十分な長期デュレーションのエクスポージャーから金への資金シフトも起こり得ます。

 

◆記録的高値にもかかわらず、需要は過去最高に

2025年第3四半期の金の現物需要は、記録的な高値にもかかわらず、前年比3%増、前四半期比でも増加し、過去最高の1,313トン(t)と予想外の底堅さを示しました※2

 

価格に敏感な宝飾品部門の需要が大きく落ち込んだ一方で、ETF投資家、金地金/金貨購入者、中央銀行による旺盛な金購入がそれを上回る形で需要を支えました。

 

◆年末の金ETF売りはむしろ“買いのチャンス”

金ETFは例年、11月~12月にかけて季節要因により弱含む傾向があり、上昇局面でも同様の動きが見られます(例:2020年や2024年のような強気相場の年でも、この2カ月間は高水準の解約がみられました)※3

 

とはいえ、2025年末に想定される一時的な売却や利益確定の動きは、現在のマクロ環境下ではむしろ買い場になると考えます。

 

◆中央銀行の買い支えが続く一方、米国経済の突出成長がドル高リスクに

強気要因としては、

 

(1)FRBの利下げにより金保有の機会費用が低下すること、および米ドル安の市場コンセンサス

(2)金ETFへの資金流入サイクルの持続

(3)中央銀行からの需要が堅調を維持すること、および米国の国際関与の後退と地政学的緊張の高まりを背景に2026年は需要が再加速する可能性があること

 

が挙げられます。

 

弱気要因としては、

 

(1)アジア太平洋地域の金の現地価格が過去最高水準となっていることによる現物需要の抑制

(2)インフレが抑制される見通しのなか、2026年に米国経済が突出して成長する米国例外主義が復活すれば、米ドル高を招き、ディベースメント取引(法定通貨の価値下落を見越した代替資産への投資)に悪影響を及ぼすこと

 

が考えられます。

 

[図表1]世界の債務増加に連動する金価格★1

 

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〈ご留意事項〉
本書は、投資の推奨や投資アドバイスを意図したものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。

本稿に示されている見解は2025年10月31日時点のSPDRゴールド戦略チームの見解であり、市場やその他の状況によって変わる場合があります。本資料には、将来の見通しと見なされる可能性のある記述が一部含まれています。その様な記述は、将来のパフォーマンスを保証するものではなく、実際の結果や展開はこれら予想とは大きく異なる場合がある点にご注意ください。

提供された情報は、投資助言に該当するものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。本情報は、有価証券の購入の勧誘または売却の申出とみなされるべきものではありません。本情報は、投資家の特定の投資目的、戦略、税務上の地位または投資期間を考慮したものではありません。ご自身の税務・財務アドバイザーにご相談ください。

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コモディティやコモディティ指数に連動した証券は、全体的な市場動向の変化や金利の変化、さらには天候、疾病、通商停止や政治的ないし規制的な展開、対象コモディティに係る投機者や裁定者の取引活動など、他の要因の影響を受けます。

コモディティへの投資は大きなリスクを伴うため、すべての投資家に適した投資対象ではありません。

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本資料は、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが作成したものをステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が和訳したものです。内容については原文が優先されることをご了承下さい。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社
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© 2025 State Street Corporation. 7620090.10.2.APAC.RTL Exp date:11/30/2026

〈注記〉
※1 Source: ICI, as of 9/30/2025.
※2 Source: World Gold Council, as of 10/31/2025.
※3 Source: Bloomberg Financial L.P., & State Street Investment Management, data sourced from 2005-2024.
※4 Source: International Monetary Fund: 2025 Global Debt Monitor, State Street Investment Management, as of 10/31/2025.
※5 Source: Bloomberg Financial L.P., & State Street Investment Management, as of 10/31/2025.
※6 Source: International Monetary Fund: 2025 Global Debt Monitor, State Street Investment Management, as of 10/31/2025.
※7 Source: World Gold Council, as of 10/31/2025.
※8 Source: World Gold Council, as of 10/31/2025.
※9 Source: World Gold Council, as of 10/31/2025.
※10 Source: World Gold Council, State Street Investment Management, as of 10/31/2025.
※11 Source: World Gold Council, State Street Investment Management, as of 10/31/2025.
※12 Source: World Gold Council, as of 10/31/2025.
※13 Source: World Gold Council, as of 10/31/2025.
※14 Source: World Gold Council, as of 10/31/2025.
※15 Source: World Gold Council, as of 10/31/2025.
※16 Source: World Gold Council, as of 10/31/2025.
※17 Source: World Gold Council, State Street Investment Management, as of 10/31/2025.
※18 Source: World Gold Council, as of 10/31/2025.
※19 Source: Bloomberg Financial L.P., & State Street Investment Management, as of 10/31/2025.
※20 Source: Bloomberg Financial L.P., & State Street Investment Management, as of 10/31/2025. Note 4% is Federal Funds Target – Upper Bound.
※21 Source: Bloomberg Financial L.P., & State Street Investment Management, as of 10/31/2025.

★1 出所:国際通貨基金(2025年世界債務モニター)、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。2025年10月31日時点
注:チャートの分析方法については用語集をご覧ください

★2 出所:ワールド ゴールド カウンシル、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。2025年10月31日時点

★3 出所:メタル・フォーカス、ワールド ゴールド カウンシル、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。2025年10月31日時点

〈用語集〉
今月のチャートの分析方法
先進経済圏には、ユーロ圏、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国が含まれます。新興市場・開発途上国には、ブラジル、インド、南アフリカ、中国を除く新興市場・開発途上国が含まれます。本稿で提示される中国の公的債務データは、IMF職員が作成した対 中国第4条協議報告書における推計値よりも一般政府の範囲が狭くなっています(両推計値の調整についてはIMF 2023を参照)。中国の民間部門債務には、地方政府の資金調達プラットフォームである地方融資平台の債務の1/3およびその他の予算外政府基金債務が含まれます。注:10年単位(例:1970年代)を示す列の数値は、当該10年間(例:1970-1979年)の平均債務水準を示します。グループ集計値は、債務の時系列統計を少なくとも1種類報告している国をすべて用いて算出されています。総債務統計と公的・民間債務内訳との整合性を確保するため、当該債務時系列データを一度も報告したことのない国については、グループ集計値算出時に欠損債務データはゼロとして扱います。過去に債務時系列データを報告したことがあるものの近年報告がなされていない国については、直近報告以降は名目債務残高が変化していないと仮定して欠損値を補完しています。

中央銀行
国または国家連合のために、貨幣および信用の創造と分配を独立性を持って管理する金融機関。

COMEX
コモディティ(主に金、銀、銅、アルミニウム)の先物を取引する市場。

金のスポット価格
スポット市場における金の価格。国際的通貨コード「XAU」で表記される、1トロイオンス当たりの金価格。米ドル建て。

LBMA午後金価格(米ドル/オンス)
LBMA金価格はIBAが独立して管理し、価格算出のためのオークション・プラットフォームを提供していますが、知的所有権はLBMAに帰属します。プラットフォームは、電子的に取引および監査が可能で、証券監督者国際機構(IOSCO)の金融ベンチマークに関する原則に沿って設計されています。

実質金利
インフレ調整後の金利。物価上昇の影響を取り除くことで、真の借入れコストおよび投資による実際の利回りを反映します。

米連邦公開市場委員会(FOMC)
米連邦準備制度内にある委員会で、金融政策を決定します。

脱ドル化
各国が国際貿易、金融取引、外貨準備における米ドル依存を減らすプロセスで、多くの場合、その背景には地政学的動機、制裁リスク、自国通貨の主権確保の取り組みがあります。

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