株式相場が史上最高値付近で推移し、主要株価指数における銘柄集中度が過去最高水準に達するなか、投資家は、リスク資産の高バリュエーション、株式と債券の高相関、およびテールリスクの増大といった環境に直面しており、「オルタナティブ投資」の重要性が高まっています。本記事では、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが、インカム・分散投資・成長性の3つの観点から、2026年の「オルタナティブ投資」展望について解説します。
「株6:債券4」からの再定義…分散効果を高めるオルタナティブ資産
財政問題が前面に浮上するなか、分散投資を株式と債券の相関関係のみに依存するリスクは、これまで以上に高まっているといえます。投資家は、ポートフォリオのボラティリティを抑制し、マクロ経済・政策・地政学的な不確実性をヘッジするため、思い通りの分散効果を期待できるオルタナティブ資産クラスに目を向けています。
プライベート・エクイティ、プライベート・クレジット、金および厳選されたヘッジファンド戦略は、株式と債券を6対4の割合で配分する従来型ポートフォリオ(いわゆる60/40)に構造的な分散効果を提供し、向こう1年間、有力な選択肢となります。
これらの資産は伝統的な株式や債券との相関が低く、長期的なトレンド、規制の変化および地域市場の動向に結びついていることがパフォーマンス要因として挙げられます。
金が戦略的な“お守り”に
特に金は、構造的および循環的な追い風を受け、分散投資の有力な手段であることが実証されています。中央銀行による金の買い入れは、価格に左右されにくい需要を生み出し、地政学的緊張、財政不均衡、根強いインフレ懸念が、戦略的ヘッジ資産としての金の魅力を一段と高めています。
株式との低い相関に加え、不確実性が高い局面でも安定性を発揮することから、金はポートフォリオ分散に不可欠な構成要素となっています。
裁量型マクロ戦略、株式ヘッジ戦略、リスクパリティ戦略は分散効果をさらに高めます。経験豊富なマネージャーは地政学の変化、為替の動き、商品価格の変動などから利益を上げられる一方、リスクパリティ手法は、資産クラス間の投資配分を均衡させることで、市場の集中や相場環境の変化に伴うリスクを軽減することができます。
ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントは、約半世紀にわたり、機関投資家、金融プロフェッショナル、そして個人投資家に、より良い成果をもたらしてきた。
インデックス運用やETF(上場投資信託)分野における早期からの取り組みを含め、同社の投資手法は、市場に裏付けられた運用ノウハウと、投資家ニーズへの継続的な対応を基盤としている。
2025年6月末時点において、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが関与する運用資産残高は5兆米ドルを超えており、60カ国以上の顧客に対してサービスを展開している。その中には、グローバル規模での戦略的パートナーシップを通じた提供も含まれ、コスト効率に優れた幅広い投資手段を提供している。ETFの運用資産総額1兆6,898.3億米ドルを含み、そのうち約1,160.5億米ドルは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・ファンズ・ディストリビューターズ・エルエルシー(「SSGA FD」)がマーケティング・エージェントを行っているSPDRの金の資産となっている。SSGA FDはSSGAの関連会社で、すべての運用資産残高は監査前の数値。
なお、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が行う資産運用関連業務のブランド名である。
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連載【ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント】金市場を徹底分析