(※写真はイメージです/PIXTA)

武富士事件は、単なる巨額追徴課税事件ではなく、日本の贈与税制度が大きく転換する契機となった点で、いまなお検証に値するといっていいでしょう。約1,300億円という前例のない追徴課税額をめぐり、新聞やテレビなどのマスコミでも大きく報じられました。『富裕層の資産承継と相続税』を刊行した八ツ尾順一税理士が租税回避と課税の限界、そして租税法律主義の在り方を正面から問うた象徴的な事件としてわかりやすく解説します。

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国外居住を利用した贈与スキーム

問題となったのは、武富士創業者の長男が、両親からオランダ法人の株式の贈与を受けた取引です。長男は当時、香港法人の代表者として出国し、香港に居住していました。

 

当時の税法では、「国外居住者」に対する「国外財産」の贈与については、日本の贈与税の課税対象外とされていました。そのため、長男は贈与税の申告を行いませんでした。

 

この制度を前提にすれば、
① 受贈者が国外居住者であり
② 贈与の対象が国外財産である
という要件を満たす限り、日本の贈与税は課されません。こうした法制度の枠組みを利用したスキームが、本件で用いられたのです。

課税のために問われた2つの論点

このケースで課税庁が長男に贈与税を課すためには、次のいずれかを立証する必要がありました。

 

1つは、長男が国外居住者であることを否認することです。もう1つは、贈与されたオランダ法人の株式を国内財産と認定することです。

 

東京国税局は前者の立場を採り、「香港居住は租税回避を目的とした形式的なものであり、実質的な生活の本拠は日本にある」として、約1,300億円に及ぶ追徴課税を行いました。

 

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