(※写真はイメージです/PIXTA)

武富士事件は、単なる巨額追徴課税事件ではなく、日本の贈与税制度が大きく転換する契機となった点で、いまなお検証に値するといっていいでしょう。約1,300億円という前例のない追徴課税額をめぐり、新聞やテレビなどのマスコミでも大きく報じられました。『富裕層の資産承継と相続税』を刊行した八ツ尾順一税理士が租税回避と課税の限界、そして租税法律主義の在り方を正面から問うた象徴的な事件としてわかりやすく解説します。

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課税庁の主張──「生活の本拠」は日本

東京国税局は、次のような事情を根拠に、長男の住所は日本国内にあると判断しました。

 

具体的には、長男が租税回避を目的として香港に渡航したこと、帰国後は家族が居住する国内の自宅に頻繁に起居していたこと(本件滞在期間中、4日に1日以上国内の自宅に起居していたこと)、香港では具体的な業務にほとんど従事していなかったことなどです。

 

これらの事情を総合し、国税局は、長男の「生活の本拠」は日本にあるとして、国外居住者であるとの主張を否定しました。

東京地裁の判断──課税は困難

これに対し、東京地裁は課税庁の主張を退けました。

 

判決では、長男が香港法人の代表者として現実に業務に従事しており、贈与税の負担回避のみを目的として香港に滞在していたとまでは認定できないと判断しています。

 

また、仮に香港での業務内容が限定的であったとしても、現実に香港を拠点として生活していた以上、国外居住者であること自体を否定することはできないとしました。

 

東京地裁は、次のように述べています。

 

「原告の香港滞在の目的の一つに贈与税の負担回避があったとしても、現実に原告が本件香港自宅を拠点として生活をした事実が消滅するわけではありません。原告が贈与税回避を目的としていたか否かが、本件国内自宅所在地が生活の本拠であったか否かの点に決定的な影響を与えるとは解し難いといえます」

 

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