(※写真はイメージです/PIXTA)

相続税対策として、外国籍の孫を受益者とする海外信託を活用すれば、日本の相続税や贈与税を回避できる――。こうした発想は、資産家の間で長く語られてきました。しかし、その前提に強い警鐘を鳴らしたのが、海外信託を巡る名古屋高裁の逆転判決です。祖父が米国生まれの孫を受益者として信託を設定したにもかかわらず、裁判所は「信託設定時点で贈与があった」と判断し、国税当局の課税処分を支持しました。この判断は、信託課税の考え方だけでなく、外国籍者への贈与や国外財産課税の在り方にも大きな影響を与えています。2025年12月に『富裕層の資産承継と相続税』を刊行した八ツ尾順一税理士がわかりやすく解説します。

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相続税対策としての「外国籍の孫への贈与」

相続税対策の一環として、外国籍の孫を受益者とする海外信託を設定するケースがあります。国内の相続税・贈与税の適用を回避できるのではないか、という期待が背景にあります。

 

しかし、このようなスキームについて、国税当局と納税者が正面から争った裁判が存在します。本件は、祖父Xが、米国で生まれた孫を受益者とする信託を設定したところ、国税当局が当時の相続税法4条1項を適用し、孫に対して贈与税の決定処分等を行った事案です。

生命保険を組み込んだ信託スキーム

問題となった信託は、単純な金銭信託ではありませんでした。

 

信託財産は、孫の父を被保険者とする生命保険契約に投資され、その将来の死亡保険金を原資として、信託の受益者に利益を分配することを目的としていました。

 

信託設定時点では、孫が直ちに保険金や金銭を受け取る仕組みではなく、実際の分配は将来にわたって受託者の裁量に委ねられていました。この点が、「贈与があったといえるのか」という争点の核心となります[図表]

 

[図表]海外信託を利用した贈与事例

 

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