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相続税対策としての「外国籍の孫への贈与」
相続税対策の一環として、外国籍の孫を受益者とする海外信託を設定するケースがあります。国内の相続税・贈与税の適用を回避できるのではないか、という期待が背景にあります。
しかし、このようなスキームについて、国税当局と納税者が正面から争った裁判が存在します。本件は、祖父Xが、米国で生まれた孫を受益者とする信託を設定したところ、国税当局が当時の相続税法4条1項を適用し、孫に対して贈与税の決定処分等を行った事案です。
生命保険を組み込んだ信託スキーム
問題となった信託は、単純な金銭信託ではありませんでした。
信託財産は、孫の父を被保険者とする生命保険契約に投資され、その将来の死亡保険金を原資として、信託の受益者に利益を分配することを目的としていました。
信託設定時点では、孫が直ちに保険金や金銭を受け取る仕組みではなく、実際の分配は将来にわたって受託者の裁量に委ねられていました。この点が、「贈与があったといえるのか」という争点の核心となります[図表]。

