(※写真はイメージです/PIXTA)

アパート経営をしていた父が亡くなり、アパートは兄が継ぐ予定です。少々虫のいい話ではありますが、手間のかかるアパート経営の管理は兄に任せ、賃料(家賃収入)だけわけてもらおうという弟の目論見は通用するのでしょうか? 本記事では、賃貸物件が相続財産に含まれている場合のポイント(賃料の取扱い、賃貸物件の評価額の決定等)について法律事務所Zの溝口矢弁護士が解説します。

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3.分割後

分割後は、賃貸物件を相続した相続人が所有者として分割後に発生した賃料を受け取ることになります。なお、相続により共有する場合は、各相続人が共有持分の割合に応じた賃料を受け取ることになります。

 

賃貸物件を相続しない相続人は、分割後の賃料を受け取ることはできません。例外的に、賃貸物件を相続する相続人が、任意で、賃料の一部を支払ってもらう旨の合意書を取り交わしてくれるのであれば、そのような形で分割後の賃料を受け取ることができる可能性もあります。もっとも、無条件にこのような対応をしてもらえることは稀なので、別のアプローチでの解決(たとえば、後述する賃貸物件の評価額を大きくして、相続財産の取り分を増やす等)を検討していくことになるでしょう。

賃貸物件の「評価額」で各相続人の取り分が変わる

遺産分割協議の結果、賃貸物件をいずれかの相続人が相続することとなった際、ほかに目ぼしい相続財産がない場合等には、賃貸物件の評価額を踏まえ、ほかの相続人に対する金銭の支払いによって、法定相続分に従った公平な相続ができるよう調整を行うことがあります※3

※3これを「代償分割」といいます。

 

このような調整では、賃貸物件の評価額次第で、各相続人が獲得できる取り分が大きく変わります。賃貸物件を相続する相続人は評価額が小さいほうが、賃貸物件を相続しない相続人は評価額が大きいほうが自らの取り分の確保との関係で有利です。

 

不動産の評価額の算定方法は、

 

・固定資産税評価額による場合

・相続税評価額による場合

・地価公示価格による場合

・不動産業者の査定による場合

・不動産鑑定士に鑑定してもらう場合

 

の5つがあり、どの算定方法によるか次第で取り分が大きく変わり得るため相続人のあいだで対立が生じやすいところです。

 

対立が続く場合、最終的には裁判所の判断に委ねられることとなりますが、その判断は、裁判所が選任する鑑定人(通常は不動産鑑定士)による鑑定に基づいてなされます。以上の点を踏まえ、適切な算定方法を主張して交渉することが重要といえます。

 

なお、賃貸物件の相続を受ける場合、併せて債務であるローンも相続することになる可能性が高いです。そのため、仮に賃貸物件を相続できる可能性がある場合、月々のローンの返済ができるかも検討して賃貸物件の相続を受けるかを決定する必要があります。返済が滞った場合、抵当権の実行により、賃貸物件を競売にかけられてしまうことがあるためです。

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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