築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】
賃料減額請求があった2つの判例
裁判例では、空き家が生じたためにサブリース業者から賃料減額請求があった事例で、安易に空き家のリスクを賃貸人に転嫁できないとして、賃料減額請求を否定したものがあります※2。
※2 千葉地方裁判所平成20年5月26日判決(平成17年(ワ)第1967号)
また、サブリース業者が賃貸人に対し支払う賃料が、サブリース業者が転借人らから受け取る転貸料を上回っている状態(逆ざや状態)が生じるなどしたために、サブリース業者から賃料減額請求があった事例もあります。
逆ざや状態等の「諸事情が賃料減額請求の当否を検討する際の一要素となるとしても、これらの事情によって」「約束された」賃貸人の「収益確保が過度に脅かされるものであってはならないと考えられる」との指摘がされています※3。
※3 東京高等裁判所平成23年3月16日判決(平成22年(ネ)第6377号)
賃料減額請求があった場合には、このような裁判例があることも踏まえ、どのように対応していくかを、法律、判例・裁判例の傾向、サブリース業者との関係性、キャッシュフロー等のさまざまな側面から検討していく必要があります。
十分にサブリース利用のリスクを考慮する
以上のとおり、サブリース業者が長期間の賃料保証がうたっている場合でも、実際には契約期間中や契約更新時に賃料減額請求をされてしまう可能性があります。マスターリース契約を締結する場合には、その可能性を十分に考慮したうえで、慎重に検討するようにしましょう。
また、サブリース業者から賃料減額請求があった場合、必ずしも当該請求を受け入れなければならないということではありません。サブリース業者からの賃料減額請求に根拠があるかを冷静に確認したうえで、諸事情を総合的に検討し、適切な対応をとれるよう努めることが大切です。
これらの対応は、法律等の専門的知識が必要となる場合も少なくありません。マスターリース契約の契約書のリーガルチェックや賃料減額請求に対する対応については弁護士、適正賃料価格に関する鑑定については不動産鑑定士にご相談するなど、必要に応じて専門家の活用も検討されることをおすすめします。
溝口 矢
法律事務所Z アソシエイト・東京オフィス
弁護士

