2026年、「日経平均6万円」へ…インフレは落ち着き、株価は跳ね上がる?「物価安定」と「稼ぐ力」が導く日本株の黄金時代【ストラテジストが解説】

2026年、「日経平均6万円」へ…インフレは落ち着き、株価は跳ね上がる?「物価安定」と「稼ぐ力」が導く日本株の黄金時代【ストラテジストが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、マネックス証券株式会社が2025年12月5日に公開したレポートを転載したものです。

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円高リスクが実現する可能性は高くないと考える理由

これは日本株にとっても良好な外部環境が続くということを意味するが、その場合、日本にとってのリスクは円高の懸念だ。米国が利下げをアグレッシブに進めるということは金利差縮小で円高になるリスクが懸念される。

 

円高リスクが懸念されるものの、そのリスクが実現する可能性は高くないと考えている。その理由は日本側で、日銀の利上げ打ち止め感が台頭すると思っているからだ。

 

足元、市場では今月の日銀金融政策決定会合での利上げが意識されている。仮に利上げがあるとすれば政策金利は0.75%となる。そうなった場合、次の利上げは近い将来を見通すなかで、おそらく「最後の利上げ」となるだろうし、そもそもそこ(0.75%)からあともう一回0.25%の利上げができるかも疑わしい状況だからだ。

 

景気を熱しも冷ましもしない中立金利は「1-2.5%くらいのあいだに分布している」というのが、植田総裁はじめ日銀の考えだというのがコンセンサスだ。我が国の潜在成長率は0%を中心にその前後マイナス0.5%-0.5%の近傍にあるとすれば、それに1.5%-2%のインフレを足した名目値が中立金利の目安になるのが妥当だろう。

 

ここで政策金利を0.75%に上げるとすれば、あと一回の利上げで中立金利の下限に達する。そうなればもはや金融政策を「緩和的」とは呼べないだろう。そこまで政策金利をもっていくには高市政権と合意できるかという政治的問題を抜きにしても、実際の日本経済の現状に鑑みて適切かどうか議論がわかれるところだろう。

 

そもそも日銀の利上げの大義にも異論は多く、その最たるものはインフレと賃上げの好循環が起きていないうちに利上げをするということだ。端的にいって、いまの日本の物価高というのはCPI(消費者物価指数)の総合、コア、コアコアでみて3%のインフレは高いという発想なのだろうが、この物価高のほとんどが食品価格の上昇である。食品を除くCPIの前年比は1%半ばだ。

 

その食品にしてもコメ(米)の異常な値上がりが全体を押し上げているのは、周知のとおり。そしてそのコメの値段も2026年には下がりそうだ。

 

コメの生産者や卸売業者などが会員として参加する米穀安定供給確保支援機構は、コメの価格や需給環境に関する市場関係者への調査結果を公表した。向こう3ヵ月の価格見通しを示す指数は4年2ヵ月ぶりの低水準となった。流通市場で在庫が膨らみ、先安観が強まっているという。

 

これでますます2026年の日本のインフレは落ち着いてくるだろう。そうしたなかで日銀が利上げを進めるのは、なおさら困難になる。いま起きている長期金利の上昇も高市政権の積極財政への懸念という理由が喧伝されてはいるが、あまり強い理由ではないだろう。日銀の利上げ打ち止め感が出れば長期金利の上昇にも歯止めがかかるとみる。

 

よって円高要因も強くなく――そもそも金利差が円安の要因でないことはここもとの為替市場の動向で明らかになったと思われるが――加えて金利上昇という日本株相場の悪材料も2026年にはなくなるだろう。

 

仮にそれでも長期金利が上昇するとすれば、それは国内の投資が回りはじめたことによる景気の好循環を反映したものになるはずだ。そのような「いい金利上昇」は株高と共存し得る。

 

以上のことから、2026年の日本株は2割程度の上昇が見込まれる。

 

 

 

広木 隆

マネックス証券株式会社

チーフ・ストラテジスト 執行役員

 

※本記事はマネックス証券 チーフ・ストラテジスト広木隆氏のストラテジーレポート『2026年 日本株相場展望』を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。また、投資による結果に編集部は一切責任を負いません。投資に関する決定は、自らの判断と責任により行っていただきますようお願いいたします。

 

 

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