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コーポレートガバナンス・コードの改定で稼ぐ力の強化がさらに意識される
上場企業の資本効率改善の流れは不可逆的で、2026年にはさらに加速していくだろう。その根拠はコーポレートガバナンス・コードの改定である。今年2025年はコーポレートガバナンスが制定されてからちょうど10年の節目に当たる。コーポレートガバナンス・コードは過去2018年、2021年と二度の改定を踏まえて、このたび2026年半ばを目途に5年ぶり、3回目となる改定にむけての議論が始まっている。
実は前述の東証の資本コスト・株価を意識した経営の要請が、実質的にガバナンス・コードの強化策として機能してきたわけだが、今回の改定もその延長線上にある。ポイントは稼ぐ力の向上だ。
10月21日に行われた有識者会議の資料でもまっさきにこの「稼ぐ力の向上」が挙げられている。「今後の方向性」として以下のようにある。
持続的な成長の実現に向けた経営資源の最適な配分の実現のため、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識した取締役会の実効的な監督や更なる開示が促進されるよう、以下の点にも留意しつつ、コーポレートガバナンス・コードの見直し等を検討する。
1.経営資源の配分先には、設備投資・研究開発投資・地方拠点の整備等・スタートアップ等を含む成長投資、 人的資本や知的財産への投資等、様々な投資先が考えられ、これらの多様な投資機会があることを認識することが重要である。(略)
2.投資等のための経営資源の配分(上記1)に関し、現状の資源配分が適切かを不断に検証しているか、例えば現預金を投資等に有効活用できているかの検証・説明責任の明確化を検討する。
(出典:金融庁ウェブサイト https://www.fsa.go.jp/rules/index.html)
完全に高市政権の成長投資が色濃く反映されているのがみてとれる。高市政権の経済政策の根本は、成長投資によって企業の稼ぐ力を強化すること――その一点にある。それによって、1)税収増を図り積極財政を推進する、2)企業の収益が上がれば実質賃金がプラスになるくらいの賃上げを促し、それが最大のインフレ対策になるということを目論んでいるわけだ。
これが政権・政府・金融庁の方針である。当然、日本の上場企業もこの流れに沿って改革を進めるだろう。
特に現金の使い方にまでスポットが当たるとすれば、日本企業の非効率な部分がますます改善されていく。すでに金融を除くベースでは日経平均採用企業のROE(自己資本利益率)は10%と2桁に乗せている。これが2026年にはさらに改善するだろう。日本企業の稼ぐ力の向上、資本効率改善、成長投資の加速――これはすべて日本株のバリュエーション上昇につながる要因である。
