(※写真はイメージです/PIXTA)

苦労して育ててくれた親に、少しでも楽をしてほしい。そんな思いで毎月仕送りを続ける子どもたちは少なくありません。しかし、親にとってそのお金は「使うもの」ではなく、「守るもの」になることも。本記事では、Aさんの事例とともに、相続において最も重要なことについて、社会保険労務士法人エニシアFP共同代表の三藤桂子氏が解説します。

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シングルマザーとして子育てに奔走した現役時代

Aさんは妹と2人姉妹。両親は父のギャンブルを理由に40代のときに離婚。母は女手一つで姉妹を育ててくれました。その後、風の便りで父親は亡くなったと聞きます。

 

母は娘たちが独立するまではと、身を粉にして働き、おかげでAさんは短期大学を卒業し、一般企業に就職。妹も専門学校に通い、看護師になることができました。Aさん姉妹は母に深く感謝し、「母の老後は姉妹で仕送りをして楽してもらいたい」と話していました。

 

母の現役時代は、子どもたちの学費等のため、働きづめの毎日でした。ダブルワークは当たり前、ときにはトリプルワークをこなし、寝る時間も多くて5時間程度。体調を崩すのではと心配する毎日でしたが、それでも母は、娘たちが希望する進路に進めるよう、姉妹とも平等に接してくれました。

 

苦労をかけた母への恩返し

母の老後の年金は約120万円、月額にして約10万円です。総務省統計局の2024年の家計調査報告において65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の平均消費支出は月14万9,286円となっています。節約すればなんとか生活できるかもしれませんが、近年の物価の高騰を考えると、心配は尽きません。

 

母は日ごろから、「2人きりの姉妹なのだから、仲良く。いざというときは助け合ってほしい」といいつづけていました。そのため、進路は違っても、姉妹は協力できる関係性を築けており、母が仕事を引退したときは妹と話し合い、いままでの苦労を労うためにも、毎月一人3万円ずつ仕送りをすることを決めました。

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