(※写真はイメージです/PIXTA)

苦労して育ててくれた親に、少しでも楽をしてほしい。そんな思いで毎月仕送りを続ける子どもたちは少なくありません。しかし、親にとってそのお金は「使うもの」ではなく、「守るもの」になることも。本記事では、Aさんの事例とともに、相続において最も重要なことについて、社会保険労務士法人エニシアFP共同代表の三藤桂子氏が解説します。

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「仕送りはいらないよ」母の遠慮と田舎暮らし

Aさん姉妹は就職したてのころは独身だったため、自分たちの生活を切り詰めて仕送りをすることができましたが、それぞれ家庭を持ち、子どもが生まれて教育費等にお金がかかるようになると、仕送り額は2万円に減額せざるを得ませんでした。子どもたちの事情を察している母は、「もうお金は送らないで……大丈夫だから」といいます。

 

それでもAさん姉妹は「少しでも」と、時には1万円になることもありましたが、仕送りを続けました。母が年金暮らしになると、「都心は家賃や物価が高いから」と、都心から離れた自身の田舎へ移住します。Aさんたちは、その分交通の便が悪くなり、余計にかかる経費もあるだろうと心配しました。

 

電話口で母は、「もともと地元だし、気楽だわ。近所の方はみんな親切で空気も美味しい。病気せずに頑張っているからお金は送らないで大丈夫」と笑って話していました。

母急逝、片付けで見つけたもの

現役時代に無理して働いてきた母ですが、体力には自信があると自慢していたとおり、田舎に越してからも大きな病気をすることなく過ごしていました。姉妹も、気軽に行ける距離ではなくなりましたが、年に一度は母のもとを訪れ、元気に過ごしている姿に安心していました。

 

Aさん姉妹が独立したのは母が55歳のとき、独立してから30年におよぶ仕送りを続け、母は85歳になっていました。

 

そんなある日、母の様子をみてくれていた近所の方から、Aさんに電話連絡が入ります。母は心筋梗塞を発症し自宅で倒れ、発見が遅かったためすでに亡くなっていたというのです。

 

3日前の電話で「元気だから」と話していたばかりなのに…

Aさん姉妹は急いで実家に向かいます。近所の方によると、「もう少し発見が早ければ助かったかもしれないが、私がインフルエンザにかかってしまい、治ってからもしばらく訪問は控えていた」とのこと。誰のせいでもありませんが、突然の別れに悲しみが隠せませんでした。

 

葬儀等、ひととおり終わると、「実家を片付け(遺品整理)しないといけないね」と、姉妹で仕事の休みを合わせて実家に向かいました。母は質素倹約していたのか、物は少なく1回で片付きそうな荷物量です。

 

荷物を積んで帰るためレンタカーを借り、片付けを進めていたところ、あるものをみつけます。

 

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