(※写真はイメージです/PIXTA)

2020年に始まった「自筆証書遺言書保管制度」。遺言者が亡くなると、指定された通知対象者に知らせが法務局から届く仕組みです。この通知は、遺言の発見を確実にする一方で、相続人にとっては「寝耳に水」の衝撃をもたらす引き金となることも……。本記事ではFPオフィスツクル代表の内田英子氏が、予期せぬ相続の結末に翻弄された事例から、不確実な未来への備え方を学びます。※本記事で取り上げている事例は、複数の相談をもとにしたものですが、登場人物や設定などはプライバシーの観点から一部脚色を加えて記事化しています。読者の皆さまに役立つ知識や視点をお届けすることを目的としています。個別事例の具体的な取り扱いは、税理士・弁護士・司法書士など専門家にご相談ください。

満足度をあげるお金の使い方

相続手続きがひと段落してから数ヵ月後。Bさんご夫婦は、老後資金の不安を抱えたまま、筆者のもとに相談に来られました。

 

「姉のことをなにも知らなかったんだなって。税金のことも考えていなかったし、空回りしていたことが恥ずかしいです。せめて残してもらったお金を無駄にしないようにしたいんです」

 

期待が外れたことへの落胆とこれまでの姉との付き合い方への後悔、そして、「これで本当に老後を乗り切れるのか」という不安が入り混じっているようでした。

 

相続で手にしたお金は、「思いがけず入ってきたお金」であると同時に、誰かの人生の終わりとともにやってきたお金でもあります。だからこそ、なんとなく置いておくのではなく、心の満足度も含めた「使い方の設計」が大切になります。

 

ステップ1:「なかったもの」として将来を試算する

最初に行ったのは、相続した約900万円をいったん「なかったもの」として扱う試算です。いまの家計の状態から未来予想図をシミュレーションし、「相続に頼らなくてもよい部分」と「相続があるからこそ選択肢が広がる部分」をわけていきました。「なんとなく不安」から、「このくらい不足しそう/余裕がありそう」という“見える不安”に変える作業です。

 

ステップ2:家計にあわせて「役割分担」を決める

次に、相続したお金の役割分担を決めます。お金の使い道は、ざっくり次の3つにわけて考えると整理しやすくなります。

 

1.必要な支出:生活費・税金・医療費など

2.自由支出:旅行・趣味・外食・交際費など

3.将来への備え:長生きリスク、介護、住宅の修繕など

 

Bさん夫婦の試算では、今後の物価上昇や医療・介護への備えがやや不足していることがわかりました。そこで相続したお金の主な使い道を「物価が上がったときの“クッション”」と「将来の医療費や自宅の修繕費への備え」に設定しました。

 

そのうえで、少しだけ「あえて使うお金」も決めました。

 

「姉が生前によかったといっていた旅行先に行ってみる」

「年に一度健康診断を受ける」

 

“使う目的”をあらかじめ決めておくことで、後ろめたさではなく「使ってよかった」という満足感につながります。

 

ステップ3:継続できる「仕組み」をつくる

最後に、決めたことを続けるためのシンプルな仕組みを整えます。

 

〇目的別にお金の“箱”をわける:お金の保管場所を目的別に分け、線引きします。

 

〇予算を立てる:それぞれの“箱”に対して、おおまかな予算の目安を決めます。きっちり1円単位で決める必要はありませんが、天井となる金額を明確にしておくと、迷いが減り、後悔も少なくなります。

 

〇年に1度「お金と暮らしの棚卸し」をする:年金額や健康状態、暮らし方の変化をふり返りながら、「この1年のお金の使い方に後悔はなかったか」「これから優先したいことは変わっていないか」を確認し、必要に応じて配分を見直します。家族で話し合ったり、専門家に相談したりしながら、無理のない範囲でアップデートしていきます。

 

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※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。

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