(※写真はイメージです/PIXTA)

2020年に始まった「自筆証書遺言書保管制度」。遺言者が亡くなると、指定された通知対象者に知らせが法務局から届く仕組みです。この通知は、遺言の発見を確実にする一方で、相続人にとっては「寝耳に水」の衝撃をもたらす引き金となることも……。本記事ではFPオフィスツクル代表の内田英子氏が、予期せぬ相続の結末に翻弄された事例から、不確実な未来への備え方を学びます。※本記事で取り上げている事例は、複数の相談をもとにしたものですが、登場人物や設定などはプライバシーの観点から一部脚色を加えて記事化しています。読者の皆さまに役立つ知識や視点をお届けすることを目的としています。個別事例の具体的な取り扱いは、税理士・弁護士・司法書士など専門家にご相談ください。

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司法書士による調査で判明した「まさか」の事実

「まずは法務局で遺言の内容を確認しましょう。あわせて、Cさんの戸籍を出生から死亡まで辿って、相続人の範囲や不動産の名義を確認します」Bさん夫婦は、司法書士に法務局からの通知をみせ、一連の手続きを依頼しました。

 

後日、司法書士事務所の応接室に座ったAさん夫婦の前には、たくさんの書類の束や封筒が置かれていました。そこで2人は、衝撃の事実を知ることになります。

 

戸籍を追っていったところ、CさんにはかつてDさんという夫がいたものの、数年前に離婚しており、現在は「元夫」であること。そして、不動産の登記簿を確認したところ、タワーマンションはCさんと元夫Dさんとの共有名義になっていたことが判明したのです。

 

「いつの間に結婚していたの……?」Bさんは、結婚の話など、姉の口から一度も聞いたことがなかったといいます。唐突に知らされた姉の意外な一面に、ショックで言葉を失いました。

 

衝撃に追い打ちをかける「遺言の中身」

続いて2人は、法務局から取り寄せた遺言書情報証明書のコピーをみながら、Cさんが残した遺言書の内容について説明を受けました。そこには見知らぬ名前が……。

 

「え、誰……?」Aさんは混乱しました。遺言書には下記のような説明があったのです。

 

〇タワマンのCさんの持分は元夫Dに遺贈する。

〇金融資産はBさんに相続させる。

 

タワマンについては、姉の持ち分を元夫Dさんに渡す。つまり、Bさんはタワマンを相続しない、という内容でした。

 

「タワマンが相続できると思っていたのに……」Bさんは、期待していた“老後の切り札”が消えたことに、肩を落としました。さらに金融資産の残高を確認すると、その額は約900万円。退職時には3,000万円あったと聞いていましたが、生活費や医療費の支出、運用商品の解約などを経て、亡くなった時点では大きく目減りしていたようです。

兄弟姉妹の相続で「勘違い」しやすいポイント

ここで少し、兄弟姉妹の相続について整理しておきましょう。子どもがいない人が亡くなった場合、相続人になるのは「配偶者」と「親」や「兄弟姉妹」など、法律で決まっています。兄弟姉妹は、子どもや親がいないときにはじめて登場する“3番目の順位”の相続人です。

 

また、兄弟姉妹には「遺留分(最低限の取り分)」がありません。そのため、遺言書で配偶者や第三者に多く遺す内容になっていると、「兄弟だけど、ほとんど受け取れない」「思っていたより少ない」ということも起こりえます。

 

今回のケースでは、元夫Dさんは相続人ではありませんが、遺言による「遺贈」を受ける立場として、タワマンの持分を取得することになりました。一方、妹Bさんは法定相続人ですが、遺言の内容によりタワマンを引き継がず、金融資産のみを相続する形となったのです。

 

次ページ「姉のこと、なにもしらなかったんだな」

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