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勝負しているのは“技術力”ではなく”国際化”
日本と欧州の中小企業の海外活動(輸出、対外投資)を比較すると、日本企業は、ほとんど外国に出かけて行かない。中小企業の人たちと話をしていても、外国に行ったことがなく、外国に行った経験があるとしても旅行社のツアーに参加して集団行動をしただけ、外国語(英語)ができないので外国人と話をするのが怖い、という話をよく聞く。日本は島国だと言われても仕方ない行動になっている。
中には、海外に積極的に進出している企業があるが、そのような会社は、だいたい社長が外国好き、新しいもの好き、というところが多い。
日独両国の産業構造に詳しいドイツ人は、ほとんど全員が声を揃えて、「日本の中小企業の技術力はドイツに遜色ない。だが、ドイツの中小企業と比べて決定的に違うのは、国際化していないこと」と言う。
だが、詳しく分析してみると、日本には国際化できる実力のある中小企業は多い。実力はあるが、外国人が怖い、外国が怖いと思いながら、外国に出て行っていないのだ。
日本にも隠れたチャンピオンはいる
テンプル大学のステファン・リッペルト教授は、2000年頃に来日し、日本の事情がほとんどわからない中で、東洋経済新報社の『会社四季報』をもとに、日本の隠れたチャンピオンを数えたという。
だが、同書ではシェアなどのデータが不十分であり、メールで直接問い合わせたり、友人から企業を紹介してもらうなどの作業を経て、2006年に作業を終えたという。リッペルト教授が数えた日本の隠れたチャンピオンは約200社だった。
日本の研究者の中には、日本の隠れたチャンピオンはもっと多いはずだと主張する人もいる(たとえば、前出の吉村研究員は400〜500社と主張している)。
筆者はステファン・リッペルト教授から直接説明を聞いたが、大企業の一事業所をカウントしていたり、『会社四季報』に載っていない会社は在日ドイツ人の友人に教えてもらうしか手段がなかったことなどを知り、あまり正確な作業ではなかったという印象を受けた。
ハーマン・サイモン氏の元同僚である同氏は、中小企業の研究者ではないが、もっと時間をかけて丁寧に数えれば、日本の隠れたチャンピオンはもう少し多いのではないかと思われる。
