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妻が抱える「このままで大丈夫?」という不安
佐竹さん自身は、家族との時間があり、やりたい仕事ができている現在の働き方に満足しています。しかし、妻の由衣さんには「このままで大丈夫?」という漠然とした不安がありました。
夫の年収は300万円台、多くて400万円程度。自分も同じく300万円台。世帯収入600万円台では、将来の教育資金や老後資金を考えると「不安がない」とはいいきれません。
「会社員に戻る気はないの?」と由衣さんがそれとなく聞いても、夫の答えはいつも「いまがちょうどいいから」。
由衣さんには夫の真意がわかっています。それは、夫が心のどこかで、自分の実家(父親が資産家であること)を“保険”のように考えているのではないか、というもの。
「いまは好きな働き方をしても、最終的には親の莫大な資産を相続できる。だから自分は無理して稼がなくても大丈夫だ」――。夫は口には出しませんが、その“甘え”が根底にあるからこそ、現状に満足していられるのではないか。由衣さんは、そう思わずにはいられませんでした。
しかし、その相続がいつになるかもわかりませんし、そもそも他人の資産を当てにして将来設計を立てることはあまりに危険です。由衣さんは、そんな夫の楽観的な態度と、自分一人が将来のお金の不安を抱え込んでいる状況に、複雑な思いを抱えながら過ごしているそうです。
「自由な働き方」には計画が必要
佐竹さんのような働き方を選ぶ人も少なくはありません。家族がそれでお金に困らずにいられるのであれば、高い収入を得ても家族と過ごせる時間を失う生活に比べ、一部の価値観のうえでは、幸せな生活といえるでしょう。
しかし、自由な働き方には「自分で考える力」と「計画性」が不可欠です。
現状の家計に問題がなくても、将来必要になる教育費や老後資金をいくら残す必要があるのか、夫婦で把握しておく必要があります。こうした「お金の見える化」ができ、先々の見通しを立てるだけの収入を確保できれば、自分にとっての“ちょうどいい働き方”を選ぶことができます。
最低限確保したい金額がわかれば、もし不足しそうなら営業活動に力を入れて年収を底上げしたり、わずかな不足なら、わずかであれば単発のアルバイトなどで補ったりすることも可能です。
大切なのは「自分や家族が安心できる暮らしができているかどうか」。そして、その安心を続けていくための“数字”を把握することです。自分らしく生きるためにも、いまと将来のお金の見える化と、資金計画を立てていきましょう。

