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家制度が色濃く残る家…介護は「長男の嫁」なのか
Aさんは3人兄妹の長男で、現在66歳。昔ながらの考え方の家で育ったため、「家を継ぐのは長男の役目」として生まれてからずっと実家で暮らし、1つ年上の妻には両親との同居が条件で結婚しました。妻はAさんのお家事情を理解してくれて、愚痴もいわず両親の世話をしてきました。
やがてAさんの両親に介護が必要になっても、懸命に世話をしてくれたのは妻でした。一方、それぞれ嫁いだ2人の妹は知らん顔。お盆や正月に挨拶に来ては、両親からお小遣いをもらって早々に帰る始末です。「生前に親の資産をもらっているから、相続するものはなにもない」と父が言い続けていました。
Aさん夫婦の年金は、Aさんが約180万円、妻が約70万円で、夫婦合わせて250万円(月額20万円)。2人だけなら日常生活はなんとかなりそうな金額です。しかし、両親に掛かる介護費は、おむつ代や介護用品のレンタル費用、その他、介護に付随するものも含めると、両親の年金を合わせてもとても足りず、貯蓄を取り崩しながらの生活が続いていました。
介護は何年続くかわからないし、容態は次第に悪くなっていきます。父は、亡くなる1年前からほとんど寝たきりに。妻は長男の嫁として、排泄の世話まで文句をいうことなく、献身的に尽くしたのです。
「献身的な嫁に報いたい」父が遺した手書きの遺言
父が亡くなる少し前、認知症が進行し施設に入っていた母が亡くなりました。そして1ヵ月もしないうちに、父も母を追うように他界します。父は身体こそ不自由でしたが、認知症ではなかったこともあり、最期まで自宅介護でした。
介護が必要になってからの娘たちの非協力的な態度を残念に思う一方、献身的な長男の嫁には深く感謝していた父。「自分に万一のことがあったとき、なにか遺してあげたい」生前、そう願うようになりました。しかし、相続になれば嫁は法定相続人ではありません。公正証書遺言を作ろうにも体が不自由で動けず、父は震える手で「手書きの遺言書もどき」と「付言」を書き残しました。
両親が亡くなり、法定相続人はAさんと2人の妹の計3人。葬儀からお墓の手配まで、ほとんどAさんの妻が奔走しましたが、妹家族は客人のようになにひとつ手伝いません。これには温厚なAさんも、心穏やかではいられませんでした。
さらに、妹たちはあろうことか「お父さんが残した財産をすべて出して」とAさん夫婦に言い放りました。妻は、義父から預かっていた通帳と、例の手書きの遺言書、そして付言をみせます。通帳の残高は約1,500万円。あとは自宅の不動産のみです。遺言書には「自宅は長男夫婦へ。残っている現金は生前、娘にはそれなりに援助していたので、最後まで世話をしてくれた嫁に500万円、残りは兄妹で均等にわけること」と記されていました。
そして、付言には父の悲痛な叫びが綴られていました。
「実の娘だから経済援助をしてきたが、介護が必要なときに長男夫婦に任せっきりでなにもしてくれなかった。長男だからと古い考え方にとらわれていた自分にも責任があるが、最期まで献身的に介護してくれた嫁に多く残すことにする。理解するように」
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