1つの仕事だけでは生活できない?
国税庁の調査(令和5年分 民間給与実態統計調査)によると、正規社員の平均給与は年間530万円。一方、「令和6年 賃金構造基本統計調査」によれば、大卒の初任給は平均24万8,300円。この数字を見れば、昇給のペースを体感している若者ほど「平均ってそんなに高いの?」と違和感を覚えるかもしれません。
厚労省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」には、「1つの仕事だけでは生活できない」「自身の能力を幅広く発揮したい」など、副業を希望する人の多様な理由が記されています。そして、その需要は今後ますます広がると見られています。
物価上昇や老後不安のなか、年収600万円台の会社員たちでさえ「資産形成の必要性」を感じ、副業や代替資産に取り組む姿が増えているのです。
「金を購入」する理由
34歳の増田さん(仮名)は、毎月数万円ずつ金を購入しています。
「iDeCoや新NISAも気になるけれど、“やらないと損”という空気に逆に不安を覚えてしまって。特にiDeCoは20年も引き出せないし、何が起こるかわからない。だったら、価値がゼロにはならない金のほうが安心できる気がして」
価格変動リスクについて聞くと、
「下がったら“買い時”だと考えて、むしろ買い増すチャンス。インフレにも強い資産だし、消費税が上がる可能性も考えると、現金より得だと思っています」
と語ります。金は利息がつかない代わりに、価値の安定性を求める層にとって「心の保険」にもなっているようです。
持ち家×iDeCoで“なんとかなる”?
42歳の高梨さん(仮名)は、住宅ローンを10年後に完済予定。持ち家があるため、老後は年金と節約生活でなんとかやっていけると考えています。
「夫婦で月20万円の年金がもらえたら、生活できると思っているんです。医療保険にも入っていますし、家があれば安心感はありますよ」
とはいえ、教育費や親の介護費用など不確定要素も多く、
「月10万円ずつ貯金しても65歳までに1,400万円くらい。でも2,000万円問題を考えると足りない。ローンが終わったらiDeCoに切り替えて、少しでも資産を増やすつもりです」
と、老後への不安を拭いきれてはいない様子です。
