(※写真はイメージです/PIXTA)

物価の上昇、教育費の高騰、年金不安――。今の日本において、将来への見通しを立てることは決して容易ではありません。特に子どもをもつ家庭では、教育費と老後資金の二重負担に直面するケースも多く、「平均的な年収」であっても家計の不安を抱えている人は少なくないようです。

結婚と子の誕生、幸せの裏に募る焦り

島田さん(40歳・仮名)は、39歳のときに3歳年下の女性と結婚。同年に娘が生まれました。現在は千葉県某市の賃貸マンションに家族3人で暮らしています。

 

手取り月収は約30万円。共働きの妻も同程度の年収で、世帯収入は月60万円ほど。決して低くはない収入ですが、「老後が怖い」と本音を漏らします。

 

「娘が20歳になる頃には、僕は定年間際。自立できていない子どもを抱えたまま、退職後の生活が始まるかと思うと、正直、暗い気持ちになります」

 

現在の貯金は夫婦合わせて500万円。結婚・出産が遅かった理由を尋ねると、過去に両親の事業を援助していたことが影響していたといいます。

 

島田さんの両親は、自営業として飲食店を営んでいましたが、経営は長く続かず赤字に。島田さんは資金援助を行い、合計で400万円以上の支出になったと話します。

 

「30代前半のころは、『一生独身でいいかな』と思っていました。趣味もあまりないし、両親への恩返しのつもりもありました。でも、まさか40歳手前で家庭を持つことになるとは…」

 

幸せな誤算。しかし、それは同時に「老後への備え」が大きく後回しになったことを意味します。

 

文部科学省『令和5年度子供の学習費調査』によれば、小学校から高校までの学費は、公立で年間30万〜60万円前後、私立では100万円を超えることも。さらに大学の学費を加えると、子ども1人あたりの教育費は約1,000万円にのぼるとされます。

 

「できる限り娘には奨学金を負わせたくない。だからこそ、今のうちから準備したいのですが……なかなか難しいですね」

 

生活費は月30万円弱。食費は8万円、家賃7万円、その他保険料・通信費・お小遣いなどを含めると、手取りのほとんどが消えていきます。

 

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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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