(画像はイメージです/PIXTA)

2025年10月1日以降、アメリカ連邦政府は新年度予算の議会可決に失敗したことで、政府機関の閉鎖に突入しました。IRS(アメリカ内国歳入庁)でも約3万5,000人の職員が一時解雇され、多くの部署が事実上停止状態にあります。無給で働く職員や納税者救済部門の閉鎖により、生活に直結する税金還付も滞る事態となっており、アメリカの公務員制度の現実が浮き彫りになっています。

無給勤務と給与支払いの法的枠組み

IRSでは、無給で働く連邦職員について「Government Employee Fair Treatment Act of 2019」に基づき、予算が通過すれば未払い分の給与が遡及して支払われるとされています。この法律は、2018年に第一次トランプ政権下で38日間にわたる政府閉鎖が発生した際、職員を保護するためにトランプ氏が署名したものです。

 

しかし、今回トランプ氏は「すべての職員の未払い給与が支払われるわけではない」と発言しており、IRSは後日、法律の解釈を正確に行わなかったとして、遡及支払いの可否について更新通知を行う予定です。この不透明さは、職員の不安をさらに増幅させています。

レイオフの発表と訴訟

トランプ政権は連邦職員の削減も発表しました。政府閉鎖中にレイオフが行われるのは極めて異例で、IRSでは約1,300名の職員が12月9日からレイオフされる予定です。これに対し職員組合は不当として裁判所に訴訟を起こし、現在は裁判官による一時停止命令が出されています。

 

こうした混乱により、IRSの業務効率はさらに低下しており、税務相談や還付手続きなどの国民サービスへの影響が懸念されます。生活資金の不足に直面している国民にとっては、非常に厳しい状況です。

日本の公務員との比較

この状況は、日本では想像すらできません。日本の公務員は、悪いことをしない限り解雇されることはなく、失業保険もかける必要がありません。さらに、給与支払いが途絶えることもなく、社会保障制度の下で安定した生活が保障されています。世界的に見ても、日本の公務員は非常に恵まれた職業といえるでしょう。

 

一方、アメリカの公務員制度では、政府閉鎖や予算可決の遅れが直接的に給与や雇用に影響するため、職員は常に不安定な状況に置かれています。今回のIRSの例は、アメリカの公務員制度の脆弱性を如実に示しており、国民生活にも深刻な影響を及ぼす可能性があることを示しています。

 

今回の政府機関閉鎖は、IRSをはじめとする連邦政府機関の業務に深刻な混乱をもたらしています。無給で働く職員、納税者救済部門の閉鎖、さらにはレイオフの予定と裁判沙汰といった状況は、日本では考えられない事態です。国民生活に直結する税金還付や相談業務が滞ることで、多くの人々が困難に直面する可能性があります。アメリカの公務員制度と日本の制度を比較することで、その安定性の違いが改めて浮き彫りになりました。

 

奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表

 

 

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