ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
兄弟共有の土地はどう管理すればよいか…
代々の地主一家で育った兄弟3人が、お父様からたくさんの貸地を、共有で相続しました。今まで3人で管理をしてきましたが、3人とも高齢になるとともに、代替わりした借地人さんも増えてきました。最近では、一郎の長男Aに地代の集金管理を頼んでいます。
今は、兄弟3人ともなんとか元気でやっていますが、いつ何時、「介護」される身になるかわからず、不安です。
このようなケースでは、一郎の長男Aが借地人から受け取る地代の管理をしているようなので、ご兄弟全員が一郎の長男Aに貸地の管理をまかせる「家族信託」という方法を検討してみる余地があります。加えて更新手続き、借地人によっては借地権の買戻しや交換、貸地の売却なども必要です。
借地人との交渉が必要な場面では、借地関係に強いコンサルタントに依頼することを検討した方がよいと思います。
信託の内容
3人の兄弟は、一郎(80歳)、二郎(76歳)、三郎(70歳)で、それぞれお子様が2人ずついます。皆、盆暮れには本家に集まって仲の良い親戚付き合いをしているようで、一郎の長男Aとも面識があるようでした。
このため、兄弟が持っている貸地を、一郎の長男Aに管理・運用・処分を任せる信託を検討してみました。
○信託の目的:貸地(信託財産)の適正な管理・運用・処分
○委託者:一郎、二郎、三郎
○信託財産:貸地
○受託者:一郎の長男Aの法人
受託者は、信託財産である貸地の地代の入金管理、借地契約の更新手続き、借地の買戻しや貸地の売却など貸地を整理します。受託者は、地代収入や売却収入などを信託財産の収益として管理し、固定資産税などの費用を信託口の口座から支払います。その残金から受益者である一郎、二郎、三郎に対し利益が交付されます。
また、一郎、二郎、三郎に相続が発生したときは、それぞれの信託財産は亡くなった方のお子様に引き継がれます。
○受益者:一郎、二郎、三郎
○3人兄弟の誰かが亡くなった後の貸地:それぞれのお子様が引き継ぐ。
家族信託を設定するときの税務署に提出する書類
家族信託を設定したときは、信託開始時、信託期間中、信託内容の変更時、信託終了時に税務署へ書類を提出する必要があります。ここでは、信託期間中に提出する書類を紹介します。
信託期間中に税務署に提出する書類を「信託の計算書」と「信託の合計表」といい、毎年1月1日から12月31日までの収益と費用の明細、資産と負債の明細を記載して、翌年1月31日までに所轄税務署に提出します。なお、受益者である一郎、二郎、三郎は、この「信託の計算書」をもとに、所得税の確定申告をします。


