〈成年後見の補完〉〈遺言代わり〉にもなる?親の財産管理、兄弟共有の土地、先祖代々の土地…“争続”を未然に回避する「家族信託」という選択肢

〈成年後見の補完〉〈遺言代わり〉にもなる?親の財産管理、兄弟共有の土地、先祖代々の土地…“争続”を未然に回避する「家族信託」という選択肢
(※写真はイメージです/PIXTA)

相続が必要なタイミングで親族に認知症の人がいた場合、遺産や土地の相続がスムーズにいかず、親族間トラブルに発展することもあります。そうした“争続”を未然に回避する意味でも、成年後見を補完し、遺言の代わりにもなるといわれる「家族信託」の活用を選択肢の1つにしてもよいかもしれません。本記事では、奥田周年氏の著書『新版 親が認知症と思ったら できる できない 相続』(ビジネス教育出版社)より、親族間相続トラブルを回避する上で活用したい「家族信託」の事例を紹介します。

ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中! 

富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】

八ツ尾順一(著)+ゴールドオンライン(編集)

『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)

『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)

シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!

先祖代々の土地を本家に継がせたい…

先祖代々の土地を所有しているご夫妻には、子どもがいませんでした。このような場合、夫が先に亡くなって妻が全財産を相続すると、妻が遺言を残さない限り、夫の本家筋で引き継いでいくことが困難になってしまいます。妻亡きあとは、夫の甥に引き継いでもらいたいというケースで、何かできることはないでしょうか。
 

受益者連続型信託とは

遺言では、自分が所有している財産を特定の人に引き継がせることはできますが、自分の財産を引き継いだ人の財産の承継先までは、指定することができません。しかし、家族信託では、2代先の承継者を指定することができ、「受益者連続型信託」と呼ばれます。

このケースの夫は、代々の地主で、家族で経営する資産管理会社をお持ちでした。代々の不動産を2世代先まで承継することを考えると、信託契約の期間も長期間になることが想定されます。

また、仮に信託財産の受託者を甥にした場合、妻が亡くなった後、甥が受益者の地位を相続しますが、受託者と受益者が1年以上同じ人のまま続くと、信託契約が終了してしまいます。このため、個人が受託者となった場合のご自身の相続や認知症リスクを考慮して、法人を受託者とすることとしました。

現状で設立してある資産管理会社を活用するか、新しく一般社団法人を設立して受託者とするか、どちらも対応可能です。ただ、資産管理会社の場合は、株式の相続という局面が発生するため、相続とは無縁の一般社団法人を受託者とする選択肢もあります。
 

信託の内容


[図表5]受益者の家族関係図


○信託の目的:先祖代々引き継いできた土地の管理・運用と後継者への円滑な承継
○委託者:夫
○信託財産:先祖代々の土地○受託者:資産管理会社(または新しく設立した一般社団法人)
○受益者
最初の受益者 夫
二番目の受益者 妻
三番目の受益者 甥
 

信託契約には期間制限に注意

信託契約では、信託契約を締結したときから30年を経過したときの受益者に相続が発生した場合、その次の受益者に相続が発生したときに信託は終了します。
 

[図表6]受益者連続型信託の期間制限

 

遺留分に注意

二番目の受益者に相続が発生し、三番目の受益者に受益権が移転する際、妻に相続人(第三順位の兄弟姉妹)以外の相続人がいるときは、遺留分の侵害額請求を三番目の受益者である甥が受ける可能性があります。
 

[図表7]紹介例のケースにおける委託者・受託者・受益者の関係図



奥田 周年
行政書士
OAG税理士法人 社員税理士

 

注目のセミナー情報

【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション

 

【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

※本連載は、奥田周年氏の著書『新版 親が認知症と思ったら できる できない 相続』(ビジネス教育出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

新版 親が認知症と思ったら できる できない 相続

新版 親が認知症と思ったら できる できない 相続

奥田 周年

ビジネス教育出版社

ついに認知症1,000万人時代突入……相続トラブルを避けたい! 巻き込まれたくない! 相続手続きをスムーズに進めるための事前準備から“なってしまった”後の対策までマンガやイラストをまじえて、できるだけわかりやすく…

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録