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世界銀行、フィリピンの成長予測を据え置き
世界銀行は、フィリピンの今年(2025年)および2026年の国内総生産成長率予測を、6月発表時と同じ、今年5.3%、2026年5.4%と据え置くと発表しました。これは、政府が目指す今年5.5~6.5%、来年6~7%という目標をいずれも下回る水準です。
地域別では、フィリピンは東アジア・太平洋地域の中で、今年はベトナム(6.6%)、モンゴル(5.9%)、パラオ(5.7%)に次ぐ第4位の成長率が見込まれており、2026年はベトナムとモンゴルに次いで第3位とされます。地域全体の成長率予測は、今年4.8%、来年4.3%と鈍化傾向が示されています。成長の減速要因として、報告書では主に三つを挙げています。すなわち貿易制限、経済政策の不確実性、そして世界経済全体の成長鈍化です。
米国がフィリピン製品への関税を8月7日から19%としたことも、輸出環境に影響を及ぼす可能性が指摘されています。ただし、フィリピンは電子機器や半導体製品については現時点では関税対象外とされているため、他国ほど大きな打撃を受けにくいとの見方も示されています。
労働市場の面では、農業分野からライドシェアなどのデジタルプラットフォーム関連業務へ、経済が移行している傾向が報告されています。同時に、基礎教育水準の低さが、労働者の新たな技術分野への適応を阻害する要因となる懸念も指摘されています。
世界銀行は、教育・人材育成、デジタルインフラ整備、サービス競争力強化といった構造改革を進め、雇用と技能のミスマッチを是正すべきだと提言しています。また、フィリピンは産業化の進展が他国に比べ遅れている点も問題として挙げられ、関税に頼る歳入構造からの脱却が必要だとされています。
さらに、フィリピン政府は、米国からの一部輸入品に対する無関税制度を導入する方針ですが、これは歳入の損失(270億~300億フィリピン・ペソ)をもたらす可能性があると分析されています。現在、議会での交渉が続いており、最終的な制度設計は未確定です。
