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中東巨大テックによる大規模投資とAI輸出ビジョン
2026年、フィリピンの経済地図は大きな転換期にあります。マルコス大統領によるアラブ首長国連邦(UAE)公式訪問を機に、中東の巨額資本が国内デジタルインフラへ流入し始めました。特に、中東諸国と初となる「包括的経済連携協定(CEPA)」の署名は歴史的な呼び水となり、データセンターやAI等の高付加価値産業への投資が空前の規模で加速しています。今、フィリピンは単なる消費型市場から、アジアを代表するインフラ型デジタルハブへと進化を遂げようとしています。
この変革を象徴するのが、UAE拠点の大手二社の動向です。まずDAMACデジタル社は、ラグナ州に国内最大級(250MW)のデータセンター建設を推進中です。同社は東南アジア全体で30億ドル以上の投資を確約しており、その戦略的要衝としてフィリピンを選定しました。
一方、アブダビのG42も、今後5年で最大5億ドルを投じ、新たなデータセンター群を構築する意図を表明しています。彼らの狙いはサーバー設置に留まりません。強固なインフラを基盤に、AIコンピューティングを公共サービスのように提供し、将来的に「AIサービスを輸出する」という壮大なビジョンを描いています。
アジア屈指の接続性と、露呈する電力コストの壁
こうした参入を支えるのが、政府主導のインフラ整備です。「国家ファイバーバックボーン」の完成間近に加え、ルソン・バイパス・インフラの整備で東西の接続性も飛躍的に向上しました。複数の国際海底ケーブルの陸揚げ地点であるフィリピンは、物理的にもアジアのハブに位置しており、この接続性の高さは近隣諸国に対する強力な優位性です。また、英語に堪能な若年層のデジタルネイティブが豊富である点も、運用面で大きな魅力となっています。
しかし、ASEAN内の誘致競争において克服すべき課題も少なくありません。特に域内最高水準にある電気料金は、莫大な電力を消費するデータセンターの利益率を圧迫する懸念材料です。また、電力供給の安定性や石炭火力への依存度といったグリッドの質も、グリーン運用を求めるグローバル企業の要求に対するハードルです。建設コストに競争力があっても、運用の持続可能性をいかに確保するかが、長期的な優位性を左右するでしょう。
UAEからの巨額投資とAI輸出という野心的なビジョンは、フィリピンが東南アジアのデジタル競争で唯一無二の地位を築く可能性を提示しています。高コストな電力課題を再生可能エネルギーの導入等で克服できれば、アジアのデジタル・経済ハブとして君臨する未来が現実味を帯びてきます。
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