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不透明ながらも「正常化」がもたらす下支え
2026年のフィリピン経済をひと言で表すなら、「強い確信を欠きつつも、着実な安定化へ向かうプロセス」といえます。2025年の混乱を経て、経済のファンダメンタルズ(基礎条件)は明確な改善の兆しを見せています。
まず注目すべきはインフレの沈静化です。2025年に平均1.6%という低水準を記録した後、2026年は2.8%程度で推移する見通しです。これは中央銀行(BSP)の目標範囲内であり、過度な物価上昇が経済を阻害するリスクは限定的です。
GDP成長率は5.3%と予測され、2025年の減速からは回復しますが、過去の高成長期と比較すれば、慎重な数字といえます。 しかし、この「緩やかな回復」こそが重要です。過熱感を期待するのではなく、安定した収益基盤に基づく適正評価への修正が行われる土壌が整いつつあります。BSPによる利下げサイクルも継続する見込みであり、企業の資金調達コストを下げ、設備投資や消費を刺激する強力な推進力となるでしょう。
「バリュエーショントラップ」の正体とその解消
現在、フィリピン株価総合指数(PSEi)は、実績PERで10.5倍という歴史的な低水準にあります。これは過去5年間の平均値からマイナス1.4標準偏差も下に乖離しており、統計的に見て極めて割安な状態です。
なぜこれほど放置されているのでしょうか。レポートはその要因を「経済の脆弱性」ではなく、「政治的不透明感」と「外国勢の不在」にあると分析します。経済の基礎条件は改善しているものの、投資家心理が追いついていない「評価の不一致(ディスロケーション)」が起きているのです。
しかし、この乖離こそが好機となります。すでに最悪のシナリオは株価に織り込まれており、市場の信頼がわずかに回復するだけで、株価が大きく反発する「非対称な上昇余地」が生まれているからです。
収益成長が主導するシナリオ
ABキャピタルは、2026年のPSEiターゲットを「6,700ポイント」と設定しています。特筆すべきは、この目標値が「PERの拡大(期待先行の上昇)」を一切想定していない保守的なものである点です。 この目標は、2026年の予想EPS(1株当たり利益)成長率10.3%のみに基づいて算出されています。つまり、市場の評価尺度(PER)が現在の低水準のままでも、企業の稼ぐ力が回復すれば自然と到達できる数字なのです。
今後、外国人投資家が回帰し、PERが歴史的な平均値へ正常化(リレーティング)すれば、指数はさらなる上振れポテンシャルを秘めています。
