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転換点を迎えるフィリピン経済
2026年、フィリピン経済は重要な転換期を迎えています。アジア開発銀行(ADB)の最新見通しによれば、同国経済は2027年までに6%台の成長率を回復する潜在力を有しています。しかし、その道のりは決して平坦ではありません。過去の政情不安や汚職問題に伴う政府支出の停滞、さらに足元での投資承認額の急減といった逆風を、いかに構造改革とインフラ投資の再加速という追い風に変えられるかが焦点となっています。
ADBは、フィリピンのGDP成長率予測を2025年は5.0%、2026年は5.3%へとそれぞれ下方修正しました。背景にあるのは、昨年来の汚職問題に起因する政府支出の鈍化と、それに伴う投資家心理の冷え込みです。特に公共事業道路省(DPWH)の予算削減は、国内インフラ計画に大幅な遅延をもたらすリスクとして危惧されてきました。
これに対しマルコス政権は現在、「浄化(クリーンアップ)」と「加速」の二段構えで対抗しています。不透明な支出を精査しつつ、道路や橋梁の維持管理など基盤事業を優先する方針です。DPWHは2026年第1四半期に最大2,500億ペソの支出目標を掲げており、この公的投資の回復が、冷え込んだ民間投資を呼び戻す強力な起爆剤になると期待されています。
公的投資が回復の兆しを見せる一方、外資誘致の要である経済特区庁(PEZA)は、2026年1月の投資承認額が前年同月比57.4%減という厳しい現実に直面しています。1月の新規案件は18件、総額128.6億ペソにとどまり、前年実績を大きく下回りました。
しかし、テレシ・パンガ長官はこれを「撤退」ではなく、投資家による「戦略的調整期間」と位置づけています。事実、詳細を精査すると、投資の質と多様性は維持されていることがわかります。パラニャーケ市での50億ペソ規模の観光エコゾーン事業や地方の大規模開発が承認されているほか、カビテやラグナといった伝統的拠点からセブ、ゼネラル・サントスなど全土へ投資が波及し、包括的な成長基盤を形成しています。
特に日本は投資元首位を堅持しており、製造業を中心とした強固な信頼関係が、経済の安定性を支える緩衝材(バッファー)となっています。PEZAは年間3,000億ペソの目標を維持しており、「CREATE MORE法」等の法整備が進む中で待機案件が迅速に実行されれば、年初の遅れを挽回することは十分に可能です。
