「いい時代も経験したけれど…」73歳女性の後悔
「もっと若い時に働いて、稼いでおけばよかった――」。Aさん(73歳)は、最近テレビのワイドショーで見た同世代の女性の言葉に、自分のことのように胸が痛んだといいます。
Aさんの夫は、かつて都内の中堅企業に勤める会社員でした。年収はピークで800万円を超え、ボーナスがたっぷりもらえた時代も。
それぞれ独立して別で暮らす息子2人がまだ小さかった頃は、Aさんは専業主婦として家を守っていました。夫の収入で生活に困ることはなく、将来への不安もありませんでした。
「一番よかったのは、やっぱりバブルの時代。家族や友達とハワイにも行ったし、グアムや香港、当時人気だったシンガポールにも行った。本当に、お金持ちじゃない普通の人がみんな行っていたから、贅沢だとは思っていなかった」
しかし、バブルがはじけると状況は変わりました。夫の賞与ががくんと減り、Aさんもパートに出ることに。
「一番高い時期にマンションを買ったから、ローン返済も大変。息子たちの教育費もあったからスーパーのレジで週3回働くようになったんです。でも、自分たちの老後のことはそれほど真剣に考えていなかった。『なんとかなるでしょ』って、どこかで甘えていた。でも結局、そのまま老後が来てしまった」
しかし、夫は定年を迎えた3年後にガンを患い急逝。そこで現実が突きつけられることになります。
