ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
高価格戦略で「平均年収2000万円」を実現したキーエンス
「高価格で売ることは、社員の給料に直結しマス。日本のメーカーのキーエンスは平均年収2000万円デス。これはキーエンスが顧客の中小製造業に、価値ある商品を高価格戦略で提案してきたからデス」
「キーエンスって、どんな提案をするの?」
「製造業では、部品寸法を測る作業がありマス。これまで社員が半年から2年間の訓練を受けて、毎回数十分から数時間かけて測ってマシタ。手間も時間もおカネもかかりマス。そこでキーエンスは、部品を置いてボタンを押せば、部品を撮影して画像を自動計算して、誰でも数秒で正確に寸法を測定できる画像寸法測定器をつくりマシタ」
「それって、毎日何回も測定すると、すごいコスト削減になるんじゃない?」
「イエス! 年間で数千万円のコスト削減ができて、開発スピードも上がりマス。画像寸法測定器の価格が少々高くても、お客は喜んでキーエンスから買いマス」
「1000円のコーラと同じで、提供する価値が価格を上回っているワケね」
「イエス! キーエンスは高い付加価値の提案をするために、提案力を磨き続けてマス。だから高収益になって、高い給料を実現できるんデス!」
日吉が「あ、そういうことか!」と声を出した。
「だからマルクスは、初めてトライアンフと商談をした直後に『すべての原因はマーケティングをわかってないことだ』って言ったのね。『安く売ろう』と考えるから、回りまわって私たちの給料も安くなる。そんな貧しくなった日本に若者も見切りを付けて、海外に出稼ぎに行ってしまう。考えてみれば当たり前の話ね」
「イエース! お客は自分でも気付かないうちに課題をたくさん抱えてマス。その中でも特に痛みが大きい課題を解決すれば、価格が少々高くてもお客は喜んで買いマス。これが『価値創造』デス。日本人は価値創造して給料を上げることを考えるべきデス! 『マーケティングなくして、経済成長なし』デス!」
「『影武者』も、情シスが気付かないムダなコストを削減する高付加価値の提案だから、それに見合う値付けが必要ね。マルクス、何かアイデアある?」
マルクスは「そうデスネ……」としばらく考えた後、口を開いた。
「サブスクで値付けをするといいデス」
