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「高価格戦略」をやりたがらない日本企業
「低価格戦略がスゴく難しいことはよくわかったわ」
「高価格戦略は違いマス。ターゲットのお客が必要な価値を提供すればお客は買いマス。業界で複数の会社が勝てマス。でも日本企業は高価格戦略をやりたがらない。ホワーイ!」
マルクスはそう叫ぶと、頭を抱えた。
「日本で驚いたのは、品質がいいのにすごく安いことデス。この前、浅草のかっぱ橋道具街で、海外で数万円もするような高品質の包丁が数千円デシタ。オーマイガッ! なぜそんなに安く売るンダ!」
日吉が首を傾げた。「なんで? 『いいモノが安い』って、いいことなんじゃないの?」
「ノー! お客に価値があるいいモノは、価値に見合う価格にするべきデス」
マルクスは(『いいものを安く』という日本人病、思ったよりも重症デス)とつぶやき、息を整えると、「こんな話がありマス」と話し始めた。
売れない商品の価格を「2倍」にしたらなぜか“完売”…「価格の品質表示機能」の魔法
「米国の土産物店で、装飾品のターコイズが売れませんデシタ。店主は数日間出張する際に、店番に『価格を1/2にして』と書き置きして出かけマシタ。帰ってきたら完売デシタ。でも、売上がなぜか多いんデス。店番に尋ねたら『価格を倍にしました』。店番が指示を間違えて2倍の価格にした途端、完売したんデス」
小杉が「なんでそうなるんだ?」と尋ねた。
「ターコイズの価値なんて誰も知りマセン。最初にターコイズが売れなかったのは『安物』と思われたからデス。いいモノでも安いと『安物』と思われマス。価格を2倍にしたら、お客に『この価格だから高級品』と思われて、売れたんデス。価格が高いと『いいモノ』と思われマス。これを価格の品質表示機能といいマス」
マルクスは両手で頭を抱える。
「コレがわからないから、日本は貧しくなったんデス! 日本は30年間、デフレで物価が下がり続け、日本企業は値引きしか考えなくなり、利益確保のために給料も削った結果、日本は貧しくなりマシタ。『いいモノが安いのは、よいこと』と信じて疑わず、マーケティング戦略も価格戦略も考えナイ。貧しくなったのは、当然デス。いいモノは『高いけどさすが』と言われる高価格で売るべきなんデス!」
ここまで言われても、日吉はまだ納得しなかった。
「でも、高い価格を付けるのって勇気がいるのよね」

