「いいモノを安く提供する」——それは、日本のビジネスにおける長年の“美徳”とされてきました。しかし、この思考こそが、30年にわたる経済の低迷と、給料が上がらない根本原因だとしたら、どうでしょうか。なぜ、リッツ・カールトンでは「100円のコーラ」が1000円でも売れるのか。その答えは、安易な価格競争から脱却し、「価値」で儲ける高価格戦略にあります。永井孝尚氏の著書『【新】100円のコーラを1000円で売る方法』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集し、ある若きビジネスリーダーの物語を通して、多くの日本企業が見失ってしまった“値付け”の極意と、利益を生み出すための価格戦略の本質を解き明かします。
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4Pのうち、「価格戦略」だけが利益を生む
「利益は『価格戦略』で大きく変わりマス。4P(※)のうち、製品、チャネル、プロモーションの3つは、お金がかかるコストデス。価格戦略だけが利益を生むんデス。価格戦略はビジネス戦略そのもので超重要デス。でも価格戦略を真剣に考えない人が多過ぎマス。オーマイガッ!」
※編集注:マーケティング戦略におけるプロセスのひとつで、1950年代に提唱された概念。『Product(製品戦略)』、『Price(価格戦略)』、『Place(販売チャネル戦略)』、『Promotion(プロモーション戦略)』の4つの頭文字をとったもの。
日吉が「じゃあ、価格戦略はどう考えればいいの?」と尋ねた。
「まず『低価格戦略』と『高価格戦略』のどちらかを選びマショウ」
高価格戦略より「低価格戦略」のほうが難しい?
「私、断然『低価格戦略』派ね! いつもお客にサービスで値引いているし」
日吉がドヤ顔で言うと、マルクスは顔を紅潮させた。「オーマイガッ! さっき『値引きで利益は激しく変わる』と言ったばかりデス! それに値引きは『低価格戦略』ではありマセン。『低価格戦略』は難しいんデス!」
マルクスの答えに、日吉は思わず笑った「それ逆でしょ。値札を書き換えるだけじゃない。高く売る方がずっと難しいわ」。
「赤字になったら値引きは続きマセン。どこより低価格でも利益が出るようにするのが『低価格戦略』デス。だから難しいんデス!」
マルクスが頭をかきむしって叫んだその時、日吉は手元の時計を見て声をあげた。「あ、大変! すぐに会社を出なきゃ。続きは明日ね」
口をパクパクするマルクスと呆れ顔の小杉を残し、日吉はオフィスを出た。
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マーケティング戦略コンサルタント
ウォンツアンドバリュー 株式会社 代表
1984年に慶應義塾大学工学部計測工学科(現・理工学部物理情報工学科)を卒業後、日本アイ・ビー・エム株式会社に入社。IBM大和研究所の製品開発マネージャー、CRMソリューションやソフトウェア事業部などの戦略マーケティングマネージャー、ソフトウェア事業の人材育成部長などを担当後、2013年、同社退社。
同年、ウォンツアンドバリューを設立し、代表に就任。多くの企業に新規事業開発を支援する一方で、講演や研修を提供。さらにKADOKAWAと協業で、ビジネスパーソンがマーケティング戦略やマネジメント戦略をオンラインで分かりやすく学べる「永井経営塾」を主宰。仕事に役立つマーケティングやマネジメント戦略の面白さを伝え続けている。
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