ビル・ゲイツ、ジョブズが絶賛した『セグウェイ』がイノベーションに失敗した理由
翌日、日吉はマルクスと小杉に話した。
「つまり、お客のお困りごとを見つけて、既存の仕組みを新しく組み合わせて解決できないかを考えればいい、ってことね」
「そうデス。でもそれだけではイノベーションは起きマセン」
「え? なんでそうなるの?」
日吉は首を傾げた。
「かつてビル・ゲイツやジョブズが『人の移動を変える革命的製品』と絶賛した製品がありマシタ。『セグウェイ』デス。ボードに二つ車輪が付いて立ち乗りできる乗り物デス」
マルクスはスマホで検索して、セグウェイの写真を日吉と小杉に見せた。
「でも大失敗デシタ。100万円もするのに時速19キロしか出ず、乗る場所も限定され、人々の行動が変わりませんデシタ」
「でも、セグウェイって、最近流行っている電動キックボードのLUUPに似てない?」
小杉が言うと、マルクスはうなずいた「そうデス。セグウェイと違って、LUUPはシェアサービスで安く使えマス。さらに交通法の改正に合わせて利用ルールも明確にして、安全性も向上させマシタ。こうしてLUUPは現代のモビリティサービスとなって、広がりマシタ」。
「なるほどね。お客が使える環境づくりがポイントなのね」日吉が納得した。
「セグウェイと違って、iPhoneには画期的な新技術はありマセン。でも、どこでもアプリが使えて、メルカリやウーバーなどの斬新なアプリが次々登場して、人々の行動を変えマシタ。成功の条件はお客の行動が変わることデス。行動変容が必要なんデス。そのためには、お客が困っている悩みを見つけて解決し、採用してもらえばいいんデス」
すると日吉の目が光り始めた。
「なるほどね。新製品開発は意外とシンプルで単純ね。こうしちゃいられないわ」
日吉はいきなりバッグを抱え、オフィスを飛び出していった。
「ケイコサン、どこへ行ったんデスカ?」
キョトンとしたマルクスの横で、小杉が醒めた目をしてつぶやいた。
「日吉がああなると、もう予測不能なんだよ」
永井孝尚
マーケティング戦略コンサルタント
ウォンツアンドバリュー 株式会社 代表
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
坪単価70万円は東南アジアの半額!! 都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

