「お客様の要望に応えよう」と、終わりのない価格競争や機能追加に疲弊していないでしょうか。実は、顧客が口にする「ニーズ」に応えているだけでは、ビジネスは消耗戦に陥るだけだと米国人マーケター・マルクスは指摘します。彼によると、成功のカギは、顧客自身も気づいていない、心の奥底にある「ウォンツ」を発掘することにあるようで……。本記事では、永井孝尚氏の著書『【新】100円のコーラを1000円で売る方法』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集し、イノベーションの本質と、それを生み出すための思考法を、ラーメン二郎からバルミューダまで、身近な事例で解き明かします。
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イノベーションの実現に成功した「ウーバーイーツ」
その日の夜、日吉は自宅でジャージ姿になってくつろぎながら、スマホを見ていた。
「今日も頑張ったし、お腹も空いたわ。うん。お肉が食べたいなぁ。リブロースステーキ400グラム。これで決まりね。ライスとスープとサラダも付けよう」
そう言いながら、スマホでウーバーイーツを注文した。料理をしない主義の日吉はコロナ禍以後、自宅でウーバーイーツが基本である。
30分後、ステーキ、スープ、大盛ライス、サラダが届いた。すごいボリュームだが日吉にとってはいつもの量である。ステーキをモグモグ食べながら、日吉はふと気が付いた。
「あれ? ウーバーって、もともと自分のクルマで稼ぎたい人と、移動したい人を繫げる配車アプリよね。この仕組みを使って、料理を宅配したい店と配送員を繫げて、私もこうして自宅でステーキを食べられるわけか……。これって、ウーバーの配車の仕組みを、食事のデリバリー用に新結合しているってことよね……」
晩酌のワイングラスをグイッと空けて、日吉はパンッと膝を叩いた。
「コロナ禍で在宅していて初めてウーバーイーツを使った時は『こんなサービスがほしかった!』って思ったけど、これがまさにウォンツを発掘して、既存技術を組み合わせて、イノベーションを実現するってことなのね。なるほど!」
マーケティング戦略コンサルタント
ウォンツアンドバリュー 株式会社 代表
1984年に慶應義塾大学工学部計測工学科(現・理工学部物理情報工学科)を卒業後、日本アイ・ビー・エム株式会社に入社。IBM大和研究所の製品開発マネージャー、CRMソリューションやソフトウェア事業部などの戦略マーケティングマネージャー、ソフトウェア事業の人材育成部長などを担当後、2013年、同社退社。
同年、ウォンツアンドバリューを設立し、代表に就任。多くの企業に新規事業開発を支援する一方で、講演や研修を提供。さらにKADOKAWAと協業で、ビジネスパーソンがマーケティング戦略やマネジメント戦略をオンラインで分かりやすく学べる「永井経営塾」を主宰。仕事に役立つマーケティングやマネジメント戦略の面白さを伝え続けている。
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