もし、脱税したら…原則「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金」だが、その上をゆく「想像を絶するペナルティ」【税理士が解説】

もし、脱税したら…原則「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金」だが、その上をゆく「想像を絶するペナルティ」【税理士が解説】

税金を払わなければ、給料や財産は容赦なく差し押さえられます。では、そうまでして納めた私たちの税金は、一体何に使われているのでしょうか。本記事では、梅田泰宏氏の著書『これだけは知っておきたい「税金」のしくみとルール 改訂新版11版』(フォレスト出版)より、税金滞納の厳しい罰則と、その使い道について解説します。

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税金を納め過ぎた場合の対処法「更生の請求」

サラリーマンの医療費控除などは5年前までさかのぼれる

申告漏れでなく、逆に多く申告してしまったときは、一定の手続きをすれば税金を戻してもらえます。申告期限から原則5年以内に、「更正の請求」手続きを行なえばよいのです。還付金額を少なく申告した場合も、更正の請求により正しい還付金額にしてもらえます。

 

とくに、給与所得者の医療費控除や雑損控除などについては、確定申告をすれば5年前までさかのぼって還付を受けられるので覚えておきましょう。相続税についても、納付した税額が後で過大になった場合の特則があります。

 

[図表3]納め過ぎは戻してもらえる

 

納得できなければ税務署に異議(不服)申立てもできる

もし、税務署の処分に納得できないというときは、税務署に異議申立てができる制度があります。その結果に不服なら「国税不服審判所」に審査請求もできます。その裁決に不服という場合は、3カ月以内に裁判所に対して訴えを提起する道もあります。

こんなに税金とって、何に使ってるんだ!?

令和7年6月のある日、経理部の後輩社員Dさんが給与明細を見ながら怒っています。

 

「何でお給料が減っちゃうのよ! 税金の天引き!? ふざけんじゃないわよ! こんな少ないお給料から、よけいに税金とってどうするの!」

 

隣の席のCさんが、見かねてなだめにかかりました。

 

「まあまあ。Dさんは入社2年目だから、所得税に加えて住民税の天引きが始まったのね。住民税は、去年の所得に対してかかって、翌年の6月から徴収が始まるのよ。Dさんは去年1年目だったから、前年の所得がなくて住民税がかからなかったの」

 

「そ、そうなんですか? それにしても、こんなに少ないお給料まで税金とって、いったい何に使ってるんだ!?

 

「税金を何に使ってるかだって?」

 

そこを通りかかったAさんが口をはさみました。Aさんは会社の顧問税理士です。

 

「いい質問だね。税金を何に使ってるか、興味を持つのはいいことだ。それは、歳出を見ればわかるよ。ほら、図表4で見ると、こんな感じだ」

 

[図表4]国の一般会計歳出内訳(令和7年度予算)

 

「これは、国の歳入に対応する歳出の予算案。歳出総額と歳入総額がピッタリ一致しているのがわかるでしょ。Dさんが怒っている住民税は地方税だから、国の歳入・歳出には入ってないけど、それは住んでる市や県のホームページなどで見てね」

 

国の歳出を見ると、社会保障関係費の約38兆円、33%が突出して大きいことがわかります。社会保障関係費の財源としては、消費税の全額を充てることが法律で定められていますが、とても足りていません。図表5の歳入のグラフを見ると、消費税の税収は約25兆円、残り約13兆円は他の税金を充てている勘定です。

 

[図表5]国の一般会計歳入額内訳(令和7年度予算)

 

そのほか、地方交付税等の約16%、防衛関係費の約8%などが目立ちます。

 

「でも、社会保障関係の次に大きいのは国債費の約25%だね。これは国債の返済額と利子の支払額、要するに国の借金の返済だ。もっとも、歳入で見ると約25%が公債金、つまり借金の借入れだから、返済額が大きくなるのも当然だね」

 

「入ってくるお金の25%が借金で、出ていくお金の25%が借金の返済!? たいへん! 私だったらとても生活できないわ!」とDさん。

 

CさんとAさん、顔を見合わせて笑っています。

 

 

梅田 泰宏
梅田公認会計士事務所 所長
税理士法人キャッスルロック・パートナーズ
公認会計士・税理士

 

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※本連載は、梅田 泰宏氏の著書、『これだけは知っておきたい「税金」のしくみとルール 改訂新版11版』(フォレスト出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

これだけは知っておきたい「税金」のしくみとルール 改訂新版11版

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