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意外と知らない所得税と住民税の違いとは
所得税とは似て非なる住民税
サラリーマンの皆さんは毎年6月、給料の手取り額が微妙に変わることに気づいているでしょうか。給与明細を見るとわかりますが、住民税の特別徴収額が変わっているのです。
給料から天引きされる税金といえば、これまで説明してきた所得税がすでに源泉徴収されています。その上に、なぜ住民税も別に納めるのでしょう。
それは、所得税は「国税」でしたが、住民税は「地方税」だからです。
住民税(個人住民税)は、都道府県や市区町村が行なっている行政サービスの費用を住民に分担してもらうという趣旨の税金です。いわば、所得税の地方公共団体版といえます。
ですから、全体的に所得税とよく似たしくみですが、大きな違いもあります。
第1に、所得税と違って、前年の所得について次年の6月から次々年の5月にかけて納付すること。第2に所得控除の額が所得税と少し異なること。第3、第4には所得税にない「均等割」の部分があり、「所得割」は超過累進税率でないことがあげられます。
なお、子供の貧困に対応するために令和3年分以後、一定の要件を満たす未婚のひとり親に対する個人住民税が非課税になっています。
住民税は自分で申告する必要がない
住民税は個人にも法人にもあるので、混同を避けるために「個人住民税」「法人住民税」と呼び分けるのが一般的です。いずれの場合も、「道府県民税」(東京都では「都民税」)と「市町村民税」(東京都特別区では「特別区民税」)の2つで構成されます。
また、住民税の定額で課税される部分を「均等割」、所得に応じて課税される部分は「所得割」といいます。個人住民税の納税額は、均等割と所得割の合計になるわけですね。
なお、道府県民税にはこのほか、預貯金の利子にかかる「利子割」、特定の配当にかかる「配当割」、特定の株式の譲渡所得にかかる「株式等譲渡所得割」もあります。それぞれの納税額は図表2のように、均等割が合計で4000円、所得割は合計で10%。
ただし、所得割の課税対象になる所得額は、所得税とイコールではありません。個人住民税の所得控除が所得税と少し異なるためで、たとえば配偶者控除・扶養控除などが所得税では基本38万円なのに対し、住民税では33万円となるなどの違いがあります。
もっとも、サラリーマンや個人事業者は、自分で計算・申告する必要はありません。
サラリーマンの場合は勤務先から市区町村へ給与支払報告書が送られ、個人事業者などは税務署から確定申告書の内容が送られるので、市区町村がそれらをもとに税額通知書を作成し、課税が行なわれるからです。


