ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
「証拠不十分」として、審判所はみなし贈与があったと判断
国税不服審判所はまず、Aさん名義の預金口座から現金が出金されたこととBさんの預金口座に入金があったことの関係性を認め、AさんとBさんとのあいだで財貨の移動があったと認定しました。
次いで、相続税法に規定する「みなし贈与」の要件について、財貨の移動があった場合に、その後にその財貨が実際に返還された、あるいは返還されることが確実であるといった特別な事情がない限り、贈与と認めるのが相当であると前提としたうえで、今回のケースでは、Bさんが、自身が多額の自己資金を有していたことを示す客観的な証拠を提出できなかったこと、また、出金した現金をAさんが自身の生活費として費消したことについても証拠上明らかではないことなどを指摘。
これらの事実から、BさんがAさんから対価を支払うことなく受けた利益に相当する金額については相続税法の「みなし贈与」があったものとみなすのが相当であると結論付けました。
思わぬ課税を避ける「2つ」のポイント
この事例は、親子など親族間での金銭のやり取りが、「みなし贈与」として相続税の課税対象とみなされるかどうかの重要なポイントを示しています。逆にいえば、「みなし贈与」とされないためには以下のような点に気をつける必要があります。
1.お金の動きを記録する
家族間であっても、多額の金銭を移動させる際には、そのお金の出所や使途、そして贈与なのか貸付なのかを明確にすることが不可欠です。この事例のように、使途が不明なまま被相続人の口座から多額の現金が引き出された場合、税務署は贈与と判断する可能性が高いといえます。
2.「贈与」の推定を覆す証拠を用意する
「贈与ではない」と主張するためには、そのお金が自身の収入や貯金であることを証明できる明確な証拠(銀行の取引履歴、源泉徴収票など)が必要となります。
「みなし贈与」は、経済的な利益が移動した事実があれば、それが贈与の意図をともなうかどうかに関わらず、贈与とみなすことができる規定です。思いがけない課税が発生してしまうことのないよう、日頃から財産の管理と金銭のやり取りには慎重な対応が必要となります。
高橋 創
税理士
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
