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経済成長を支える内需と金融緩和
アジア太平洋大学(UA&P)の最新経済見通しによると、フィリピン経済は2024年第3四半期の5.2%、2025年第2四半期の5.5%を上回り、2025年第3四半期には5.8%の成長を遂げると予測されています。この成長の背景には、インフレ率の歴史的な低水準が挙げられます。2025年7月のインフレ率は0.9%と、ほぼ6年ぶりの低水準を記録しました。これにより、消費者の購買意欲が維持され、家計消費の堅調さを後押ししています。
また、インフレ率の鈍化は、中央銀行(BSP)に金融緩和の余地を与えています。BSPは2024年8月以降に累計125ベーシスポイントの利下げを実施し、現在の政策金利は年率5.25%です。年内にさらに50ベーシスポイントの利下げが計画されており、これにより経済活動のさらなる活性化が期待されます。
一方で、米国からの関税引き上げや海外フィリピン人労働者(OFW)の送金に対する新たな課税、世界経済の減速といった外部的な逆風も存在します。特に、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)セクターにおけるAIの浸透は、中低スキル労働者の代替リスクとして懸念されています。
住宅市場…供給減少と需要回復の交差点
メトロマニラの住宅市場は、大きな転換期を迎えています。2025年第2四半期には、約1,400戸の新築コンドミニアムが引き渡されました。しかし、パンデミック期間中の新規開発抑制の影響により、2027年から2029年の年間平均新規供給戸数はピーク時の約13,000戸から大幅に減少し、約2,000戸にとどまる見通しです。
この供給の急激な減速とは対照的に、需要は力強い回復を見せています。2025年上半期には、前年同期比34%増の7,100戸のプレビルドユニットが市場に供給され、同時に購入意欲も非常に強い状況です。購入キャンセル数(バックアウト)も前四半期から25%減少し、購入者の確度が高まっていることが示唆されています。
この「供給減少」と「需要回復」の同時進行が、メトロマニラの住宅価格を上昇基調へと押し上げています。中央銀行の利下げ政策による住宅ローンの利用拡大も、さらなる需要拡大を後押しするでしょう。
