好調な経済成長を続けるフィリピン。その首都圏メトロマニラの不動産市場で、新築供給が将来的に激減する一方、住宅需要は力強く回復するという、異例の「需給ギャップ」が生まれています。なぜ、このような現象が起きているのでしょうか。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクター・家村均氏が最新データを基に、このギャップの背景にある経済構造を解き明かし、今後の市場動向と投資の好機を探ります。
投資家が注目すべきリスクとチャンス
フィリピン経済は、内需主導の安定的な成長基調が続く可能性が高いと言えます。低インフレと金融緩和策は、さらなる経済活性化の鍵となるでしょう。
不動産市場においては、主要業務地区(CBD)の物件が依然として安定した需要を維持しています。一方で、空室率が54%と過去最高を記録した湾岸エリアなど、過剰供給のリスクがある地域には慎重な見極めが必要です。
投資家にとっては、低金利政策を背景に住宅ローン市場が活性化する今を好機と捉え、リスク分散を図った長期的なポートフォリオ形成が重要となります。デベロッパーが提供する多様な販売戦略や柔軟な支払い条件を活用し、市場の変化に素早く対応することが成功の鍵となるでしょう。
総じて、外部リスクは存在するものの、フィリピン経済は堅調な軌道にあり、特に内需と住宅市場の動向が今後の成長を牽引すると考えられます。
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一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング
エグゼクティブディレクター
慶応義塾大学経済学部卒業後、東急電鉄に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。(約15年)
その後は、コンサルティングファーム(アクセンチュア・ユニシス)や投資ファンド(三菱UFJキャピタル)などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施。現在、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産の販売やフィリピンへの事業進出のアドバイスを行っている
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