(画像はイメージです/PIXTA)

7月30日、31日にかけて、「日銀金融政策決定会合」が行われ、政策金利を現在の0.50%程度で据え置くことが決定しました。本記事では、その会合の中身と日銀が同時に公表した展望レポート、植田総裁の会見内容について、東京海上アセットマネジメントが解説します。

一方、「慎重姿勢」を崩さぬ植田日銀総裁

展望レポートが上述のとおりタカ派的だったのに対し、植田日銀総裁の記者会見はハト派的な印象を与えるものとなりました(図表3)。

 

出所:各種報道等をもとに東京海上アセットマネジメント作成
[図表3]植田日銀総裁の主な発言内容 出所:各種報道等をもとに東京海上アセットマネジメント作成

 

植田日銀総裁は日米関税交渉の合意を受けて不確実性が低下したことを認めつつも、関税率は以前よりも高く、経済・物価に与える影響に関する不確実性は依然として高いと説明しました。

 

そのうえで、中心的な見通しとしては、引き続きいったん成長率が鈍化し、基調的なインフレ率が弱含むと予想しており、今後、ハードデータにはっきりとした影響が出てくると述べました。

 

経済のハードデータが悪化し、インフレ率が低下するなかにあっても利上げか可能かと問われ、植田日銀総裁は賃金や物価の上昇率が多少低下したとしても、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムが途切れずに続いていくかどうかが、次の利上げを決定する際の大きな判断材料になると述べました。

 

春闘では、前年のインフレ率が賃上げの交渉の際に参照されることから、植田日銀総裁の発言は、追加利上げには来年の春闘における賃上げ状況を確認する必要があることを示唆していると考えられます。

 

その場合、10月や2026年1月の会合前に開かれる日銀支店長会議で、地域企業からのヒアリング情報を通じて、来年の春闘における継続的な賃上げの確度を確認することになります。

 

また、基調的なインフレ率について、植田日銀総裁は食料品価格の上昇の影響を従来以上に注意する必要があるとしながらも、依然として2%に達していないと述べたうえで、ビハインド・ザ・カーブに陥るリスクは大きくないとの認識を示しました。

 

タカ派・ハト派両方の材料が混在したことで、31日の為替市場は値動きの荒い展開となりました。

 

展望レポート公表後に1米ドル=149円台半ばから148円台半ばまで円高に振れたものの、植田日銀総裁の記者会見が始まると円高が一服し、会見で追加利上げを急がない姿勢が示されると一時150円台まで円安が進む展開となりました。

日銀は「追加利上げ」の時期を模索する展開に

日銀は利上げの時期を適切に判断するうえで、関税措置が経済・物価に及ぼす影響を引き続き見極める必要があるとの考えを示しました。

 

利上げの時期は徐々に近づいていると思われるものの、米国の関税政策や海外経済の動向によっては、利上げ時期が後ずれするリスクがあります。

 

また、関税措置と並んで、日銀の金融政策を巡るもう1つの不確実性である国内政治情勢の混迷は続いています。仮に、日銀の利上げに否定的な首相が新たに選出された場合、日銀の利上げの制約要因になります。市場では、日銀が年内にも追加利上げに踏み切るとの見方が大勢を占めているだけに、追加利上げの時期が来年に後ずれする可能性には注意が必要です(図表4)。

 

出所:Bloombergのデータをもとに東京海上アセットマネジメント作成 (注)翌日物金利スワップ(OIS)から算出した0.25%の利上げ確率
[図表4]市場が織り込む日銀の利上げ確率 出所:Bloombergのデータをもとに東京海上アセットマネジメント作成
(注)翌日物金利スワップ(OIS)から算出した0.25%の利上げ確率

 

 


東京海上アセットマネジメント

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『~日銀金融政策決定会合(2025年7月)~政策金利据え置き、日銀の慎重姿勢は変わらず』を参照)。

 

 

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※本連載は、東京海上アセットマネジメントのマーケットレポートを抜粋・再編集したものです。
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