2025年の米国株式市場
2025年の米国株式(S&P500種指数、以下「S&P500」)は約16.4%上昇*しました(図表1)。
* 2024年12月末~2025年12月末の騰落率
年初は、中国のAI(人工知能)関連のスタートアップ企業ディープシーク社が低コストで高性能な生成AIモデルを発表し、AI関連投資の減速懸念が高まったことや市場予想を上回る相互関税の発表から株式市場は下落しました。
その後、相互関税の導入延期、各国政府との関税交渉の進展から株式市場は反発しました。ロシア・ウクライナ情勢、米国政府閉鎖など政治的な不透明感は高まったものの、堅調な企業業績、FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げなどがサポート要因となり株式市場は上昇基調で推移しました。
2025年の株式市場の特徴
マグニフィセント7(M7)主導の相場展開
M7指数*1は25%上昇した一方、S&P500等ウェイト指数(M7以外の銘柄の動きを示す指標)は9%の上昇にとどまり(図表2)、M7相場が継続しました。
テーマ別物色の高まり
金、仮想通貨、防衛、AIなど特定のテーマ銘柄が市場を大きく牽引しました(図表3)。この結果、S&P500構成銘柄のうち指数をアウトパフォームした銘柄は25%程度にとどまりました。
使用した指数は以下のとおりです。
金:S&P Commodity Producers Gold Index、仮想通貨:Solactive Blockchain Index、防衛:Dow Jones U.S. Select Aerospace & Defense Index、AI:Global X Funds Global X Artificial Intelligence & Technology ETF(すべてトータルリターン、米ドルベース)
過去は通常4~5割の銘柄が指数を上回ることから、2025年は銘柄間のパフォーマンスの偏りが大きい年となりました。過去3年続くM7主導の相場展開に加え、前記のテーマ物色の高まりが偏りを助長したといえます。
不確実性の高い政治経済に対する市場の楽観姿勢
米国の経済政策不確実性指数は、足もとでリーマンショックやコロナショック時と同水準まで上昇していますが、VIX(恐怖)指数は落ち着いています(図表4)。
過去、両指数はおおむね連動し、不確実性が高まる局面では株式市場が下落し、VIX指数も上昇する関係にありました。この乖離の背景には「TACOトレード*2」があると考えられます。
トランプ米大統領は様々な政策を発表するものの実際の実施には至らないケースが多く、市場参加者がこのパターンを学習し政治の不確実性を過度に懸念しなくなっている可能性があります。
*1 M7指数:BloombergMagnificent7Index
*2 TACOトレードとは、「Trump Always Chickens Out(トランプはいつも逃げる)」の略で、トランプ米大統領が強硬な政策を発表するものの実際には実施しない、または撤回するパターンを利用した投資戦略のこと。



