参院選は“与党過半数割れ”…「政治不安」による〈円売り〉は続くのか?今週の予想レンジ〈146~151円〉の根拠【国際金融アナリストが解説】

7月22日~7月28日の「FX投資戦略」ポイント

参院選は“与党過半数割れ”…「政治不安」による〈円売り〉は続くのか?今週の予想レンジ〈146~151円〉の根拠【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

参院選を理由とした政治不安や財政赤字拡大懸念から、一時149円台にまで上昇した先週の米ドル/円。蓋を開けてみれば連立与党の過半数割れとなりましたが、この「政治不安」に起因した「円売り」は今後も続くのでしょうか。今週のドル円相場の動きについて、マネックス証券チーフFXコンサルタント・吉田恒氏が予想します。

投機筋の「円売り」継続見込み…「為替介入」の可能性はあるか

ところで、先述したように、CFTC統計の投機筋の円買い越しは、過去最高の17万枚から先週は10万枚まで縮小したものの、円が低金利であることから本来は買いには不利であるといえます。

 

さらに、2024年までの買い越し最高値である2016年の7万枚をいまだ大きく上回っていることなどを考えると、円はまだ“買われ過ぎ”であると考えられます(図表7参照)。

 

したがって、その修正にともなう円売りが続く可能性が高いことから、米ドル/円は下値が限られ、上値を試す状況が今週も続きそうです。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表7]CFTC統計の投機筋の円ポジション(2025年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

その一方で、最近の円売りの口実となっている日本の政局不安や財政赤字拡大の懸念は、日本株が大きく下がっているわけでもない状況下、違和感をおぼえます。

 

最近、政府高官が「投機を含めて、為替市場の動きを憂慮している」と発言しているように、債券や株式相場に比べて、日本の政治要因を受けた為替市場の反応は過剰な面があるのではないでしょうか。

 

「為替介入」の可能性はあるか?

では、このまま過剰反応の円安が続いた場合、円安阻止のために「為替介入」が行われる可能性はあるのでしょうか。

 

日本の通貨当局が円安阻止のために2022、2024年に行った為替介入には、下記のような共通点があります。

 

1.米ドル/円が前回の高値を更新する

2.5年MA(移動平均線)を2割以上上回る

3.120日MAを5%以上上回る

など

 

これを参考にすると、5年MAかい離率などで見る限り、米ドル/円が150円を上回った程度では米ドル売り介入を行う条件には達しないでしょう。しかし、ユーロ/円が175円を上回り、2024年7月に記録した前回の高値を更新すると、ユーロ売り・円買い介入の条件を満たすことになります(図表8、9参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表8]米ドル/円の5年MAかい離率(1990年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表9]ユーロ/円の5年MAかい離率(2000年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

今週の米ドル/円予想レンジは「146~151円」

日本の為替介入は、これまでは米ドル/円が大前提であり、ユーロ/円などの介入はあくまでその補助的な位置づけでした。

 

しかし、トランプ政権は前バイデン政権と異なり、非関税障壁である“行き過ぎた円安”を容認しない姿勢であるとみられていることから、円安再燃への当局の対応も注目したいところです。

 

以上を踏まえ、今週の米ドル/円は「146~151円」と予想します。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

注目のセミナー情報

【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション

 

【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録