「円売り」を引き起こした“もう1つの要因”
もしも財政赤字拡大を懸念した日本からの資金流出ということであれば、円安だけではなく株安にもなりそうです。しかし、最近にかけての日本株は上値の重い展開が続いたものの、必ずしも大きく下落したわけではありませんでした(図表4参照)。
したがって、先週にかけての米ドル高・円安は、政治不安に起因する円売りではないように思います。
ヘッジファンドの取引を反映するCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、買い越しが一時17万枚以上と空前の規模に拡大しましたが、6月以降は縮小傾向が続き、先週は10万枚まで縮小しました(図表5参照)。
したがって、先週149円台まで米ドル高・円安となった背景は、このような“買われ過ぎ”修正にともなう円売り、米ドルの買い戻しが米ドル/円を下支えするなかで、日本の参院選の結果を受けた政局不安などを手がかりに米ドル買い・円売りを試す動きが続いたというのが、基本的な見方でしょう。
米ドル/円は、4月のいわゆる「関税ショック」以降、142~146円をコアレンジとした展開が2ヵ月以上と長く続きました。しかし、先々週それを“上放れ”ました(図表6参照)。
この結果、テクニカルに米ドル上値、円下値を試しやすい状況となっており、そういったなかで日本の政治要因が材料視されたということではないでしょうか。



