(画像はイメージです/PIXTA)

米政府が4月に打ち出した大規模な関税措置を受け、世界中の金融市場が急落しました。一方、金の価格は記録的な「高値」を更新し続け、投資家からますます注目を集めています。本記事では、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントのゴールド・ストラテジスト アーロン・チャン氏が、投資先として注目が集まる金について、詳しく解説します。 

具体的な金投資手段とは?それぞれのメリットデメリットも解説

投資家が⾦投資を通じて期待される様々な恩恵を享受するには、いくつかの選択肢があります。ETF(上場投資信託)、投資信託、⾦塊や⾦貨、あるいは⾦鉱株といった様々な投資⼿段の利点や留意点について理解を深めることは、⾃⾝の投資スタイルに最適な方法を⾒極めるうえで役に⽴つはずです。

 

金を裏付けとするETFの特徴の一つに、⾦へのエクスポージャーを手軽に得られるだけでなく、取引所を通じた売買のしやすさや価格の透明性、そして比較的低い平均経費率といったパッシブ型ETF特有の利点が挙げられます。なかでもSPDR⾦ETFシリーズのように⾦現物を裏付けとした商品は、ビッド・アスク・スプレッドや⾦価格との乖離(トラッキングエラー)が小さく、取引コストを抑えた効率的な投資⼿段として注目されています。

 

また、⾦ETFは流動性も高く、ポートフォリオの構築やリバランスにも対応できる柔軟性があります。ただし、全ての⾦ETFが⾦地⾦を保有しているとは限らないため、各ETFの保有資産を慎重に確認し、現物の⾦への投資比率を把握しておくことが重要です。これは、⾦⾃体への投資配分⽐率が低い、または直接的/間接的に投資していない⾦鉱株ETFや⾦投資信託と⽐較する際に、特に留意すべきポイントです。

 

投資信託も⽇次で流動性を提供するものの、ETFとは異なり、取引所でリアルタイムに売買することはできません。また、運⽤ポートフォリオに⾦のエクスポージャーを取っているバランスファンドは、⾦だけでなく他の資産も組み入れているため、⾦価格の動きに連動しない場合もあり、⾦の保有によって得られる本来の利点が薄れてしまう可能性があります。さらに投資信託は、多くのETFと⽐べて総経費率が⾼めである点にも注意が必要です。

 

金鉱株や金鉱株ETFも、投資家が⾦への間接的なエクスポージャーを取る⼿段の⼀つです。ただし、これらは金そのものに投資するわけではなく、金を採掘・生産する企業への投資となるため、金価格だけでなく、事業の収益性、業界内の競争状況、財務健全性や経営戦略といったさまざまな要因の影響を受けます。そのため、金現物や金ETFとは性質が異なることを理解しておく必要があります。

 

金塊と金貨は、現在も⾦へのアクセス手段として世界中の投資家に広く利用されていますが、その傾向は変化しつつあります。現在、世界の金ETFは3,541トンの金を保有しており※1、ETFを通じた投資の拡大は、金の保有手段としてETFを選ぶ投資家が増えていることを示しています。⾦塊や⾦貨の保有は、実物を所有するという点で非常に透明性が⾼いものの、購⼊時に市場価格にプレミアム(上乗せ)がつくことが多く、コスト面での注意が必要ですまた、保険、輸送、保管といった管理コストや売買時の流動性の低さも、実際の投資リターンに影響を及ぼしかねません。

 

金先物は、主に機関投資家や大口投資家がレバレッジ(借り⼊れ)を活⽤して金へのエクスポージャーを得たり、鉱山会社が金価格の変動リスクを低減したりする手段として利用しています。一般の個人投資家にはややハードルの高い手法といえるでしょう。

 

また、金先物には現物の裏付けがなく、決済期日が設定されているため、ポジションを維持するには限月ごとに建玉をロールオーバー(乗り換え)する必要があります。先物は一般に取引規模が大きく、売買手数料は低めですが、ロールオーバーにかかるコストなども含めた総コストを十分に考慮する必要があります。

 

最後に、金は、不安定な金融市場に直面する日本の個人投資家にとって、資産分散の一環として検討に値する有力な選択肢といえるでしょう。

 

※1 出所・ワールドゴールドカウンシル2025年5月31日現在

※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください。

 

アーロン・チャン

ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント  ゴールド・ストラテジスト

 


 

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

【ご留意事項】
本資料は情報提供のみを目的として作成したものであり、金融商品取引法およびその他日本の法律に基づく開示資料ではありません。
本資料は、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社を含むそのグループ会社が提供する外国籍ETF等に関する情報を含む投資情報の提供を目的として、グループ会社により作成された資料を元に作成しており、投資の勧誘等を目的とするものではありません。本資料には、日本国内での募集の取扱い等に係る金融庁への届出等がされていない外国籍ETFに関する情報も含まれています。国内の金融商品取引所に上場していないETFについて、金融商品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。
本資料は各種の信頼できると考えられる情報・データに基づき作成しておりますが、当社はその正確性・完全性を保証するものではありません。こうした情報は不完全であるか、要約されている場合があります。また、本資料に記載している各種情報・データは、特に記載のない限り作成時点のものでありこれらは市場動向やその他の状況等によって随時変動し、あるいは変更されることがあります。
本資料に記載している各種シミュレーション・データは、過去のデータに基づき当社モデルを利用したバックテスト結果であり、将来の運用収益を保証するものではありません。実際の運用収益はバックテスト結果から大きく異なる可能性があります。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。本資料内の意見は全て当社あるいはグループ会社の判断で構成されており、事前に通知することなく変更される可能性があります。なお、本資料中のステート・ストリートに関する記述には、ステート・ストリート・コーポレーションおよびその関係会社が含まれる場合があります。ステート・ストリートの関係会社は、本資料のETFに関するサービスを提供すると同時に、信託報酬ないしその他の報酬等を受け取ります。

<投資にかかるリスクについて>
ETFは、主に株式や債券などの有価証券、また金などのコモディティ、あるいはその他の資産に投資を行います。投資対象としているこれらの資産の値動きにより、ETFの基準価額が下落することがあります。これらの資産への投資には、市場リスク、金利リスク、カントリーリスク、信用リスク、為替リスク、流動性リスク等、様々なリスクがあり、ETFも同様のリスクが伴います。これらのリスク要因により、ETFの市場価格が下落する場合があります。その為、投資元本を割り込む恐れがあります。ETFは流通市場において株式と同様に取引されますが、取引価格は変動し、基準価額を下回ることがあります。また、常に取引可能であるとは限らず、市場環境が悪化している場合は、取引価格が大幅なディスカウントとなる可能性があります。ETFには上場廃止リスクがあり、純資産規模が縮小するなど、運用が困難になった場合や、上場取引所の上場基準に合致しなくなった場合、上場廃止となることがあります。これらは主なリスクであり、ETFへの投資に係るリスクはこれらに限定されるものではありません。
なお、コモディティETFやコモディティ指数連動証券は、市場全体動向の変化、金利の変化、および対象資産となるコモディティへの投機や裁定に係る取引活動に加え、天候や病気、通商条件あるいは政治や規制の展開の様な他の要因によって影響を受ける可能性があります。
コモディティ投資には大きなリスクが伴うため、すべての投資家に相応しいとは言えません。分散投資により利益を確保したり損失に対する保証が得られたりするわけではありません。

本資料に記載の各インデックスの著作権・知的所有権その他一切の権利は各インデックスを算出・公表している機関・会社に帰属します。過去の実績は、将来の投資成果を保証するものではありません。本資料の二次使用、複写、転載等を禁じます。

©2025StateStreetCorporation.
AllRightsReserved.
TrackingNumber:8096516.1.1.APAC.RTL
Exp.Date:6/22/2026

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録