今週の注目点…中東情勢の緊張は続くのか!?
米インフレ再燃なら「悪い金利上昇」の可能性も!?
今週の注目は、まずは中東情勢の緊張がまだ続くのか、それとも緩和に向かうのかということでしょう。仮に緊張が続いた場合は、原油価格の上昇がインフレを再燃させるリスクへの懸念も強まる可能性があるでしょう。
今週はFRB(米連邦準備制度理事会)が注目するインフレ指標、PCEコアデフレーターの発表も予定されていることから、インフレ再燃のリスクには過敏な状況が続くのではないでしょうか。
仮にインフレ再燃への懸念が高まった場合は、米金利の上昇により米ドル買いがさらに広がると考えるのが基本でしょうが、ただすでに見てきたように債券需給の不安の後退がこの間米ドルの買い戻しを後押ししてきたなら、インフレ再燃は債券需給の不安を再燃させることで米ドル売りの材料になる可能性もあります。
米金利上昇でも米ドルが下落することを「悪い金利上昇」と呼びますが、そうなるかのわかりやすい目安は株価の動向です。インフレ再燃への懸念が高まった場合、株安となるようなら米金利上昇でも米ドルは売られる可能性が出てくるでしょう。
今週の米ドル/円予想レンジは143~148円
すでに見てきたように、先週の米ドル高・円安の一因として、過大な投機筋の円買いのポジションを整理する動きがあったなら、それが一段と広がるかを考えるうえでは損益分岐点との関係が注目されるでしょう。
たとえば、損益分岐点の目安である120日MA(移動平均線)は足下で148円台まで下落してきたので、これを超えて米ドル高・円安になる可能性が出てきた場合、円買いポジションの損失拡大を回避するために、ポジションを手仕舞う(米ドル買い・円売り)動きが拡大する可能性があります(図表6参照)。
個人的には、日米の金利差との関係などから、米ドル高・円安は円買いのポジションが損益分岐点割れに至らない程度にとどまると考えています。このため今週の米ドル/円の予想レンジ上限は、損益分岐点の目安、120日MAが位置する148円で想定します。
一方の下限は、米ドル反発を試す動きが続くなら先週の米ドル/円の安値、143円台の更新の可能性は低いとの考えから143円ちょうどで想定したいと思います。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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