米中会談の上昇ムードで一時“145円回復”も、熱狂は短命か…迫る米スタグフレーションを懸念、今週のドル円は〈142円~146.5円〉で神経戦へ【国際金融アナリストが解説】

6月10日~6月16日の「FX投資戦略」ポイント

米中会談の上昇ムードで一時“145円回復”も、熱狂は短命か…迫る米スタグフレーションを懸念、今週のドル円は〈142円~146.5円〉で神経戦へ【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

米国でくすぶる景気後退リスクと、日本で高まる追加利上げ観測。相反する材料が交錯するなか、相場はどちらへ向かうのでしょうか。145円台まで値を戻した先週のドル円が継続するかどうかの鍵は、日米の「短期金利差」にありそうです。今週のドル/円予想について、マネックス証券チーフFXコンサルタント・吉田恒氏が詳しく解説します。

今週の注目点…米経済のスタグフレーション懸念は再浮上するか

CPI発表でインフレ再燃?=トランプ関税の影響

今週はCPI(消費者物価指数)など米国のインフレ指標の発表が予定されています。5月のCPIは前年比での上昇率が、今のところ前月より高まるとの予想となっています。トランプ大統領の関税政策を受けてインフレ再燃への懸念はかねてありましたが、それがいよいよ実際の数字で確認されることになるかが注目されます。

 

トランプ大統領の関税政策の影響は、インフレ再燃とともに景気を大きく減速させて、米経済を景気後退と物価上昇の同時進行、スタグフレーションに陥らせかねないとの警戒論がありましたが、それは4月までの米経済指標発表では確認されるに至りませんでした。

 

ただ先週から始まった5月の経済指標は予想を大きく下回る結果も相次ぎました。ISM(米供給管理協会)の製造業の景気指数は、予想の49.2に対し結果は48.5、そして非製造業の景気指数も予想の52に対し結果は49.9といった具合に、ともに予想を比較的大きく下回る結果となりました。景気の悪化に加えインフレ再燃で、改めて米経済のスタグフレーションの懸念が再浮上する可能性は注目されるところでしょう。

 

スタグフレーションへの懸念は、「米ドルの番人」でもある中央銀行の金融政策の対応を困難にさせることから、普通なら米ドル売り材料になります。その意味では、新たな米ドルの売り材料が追加されることになるかといった観点で注目されることになりそうです。

 

今週の予想レンジは142円~146.5円

今週も米中による貿易交渉の解決などへの期待から株高に振れる局面などはあるかもしれません。しかし、すでに見てきたように米景気減速の兆候も出始めてきたことを考えると、米短期金利の上昇はおのずと限られ、一方で日銀の追加利上げの見通しに伴う日本の短期金利上昇傾向が変わらない可能性が高いことから、日米の短期金利差の拡大に伴う米ドル高・円安が、テクニカルな分岐点である146円を大きく超える可能性は低いのではないでしょうか。以上を踏まえ、今週の米ドル/円は142円~146.5円で予想します。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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