(※写真はイメージです/PIXTA)

税理士法人松本の代表税理士松本崇宏氏によると、さまざまな個人事業主や法人の税務調査を担当した“やり手”の調査官であれば「水増しが疑われる領収書」は自然と目につくようになるため、税務調査時に不正が発覚すると指摘します。そこで、“ギリギリ5万円未満の領収書”が危険な理由をはじめ、領収書の役割と重要性のほか、税務署が警戒する「領収書を使った不正行為」の危険性をみていきましょう。

経費の水増しが発覚するとどうなる?

税務調査が行われ、経費の水増しが発覚した場合、申告していた所得額と実際の所得額が変わることになります。また、所得額が変われば納税すべき税額が変わります。

 

水増ししていた経費を正しい金額で修正申告した場合、所得額は高くなり、当初申告の納税額では不足する事態となるのです。当然、不足分の税額については納税しなければなりません。

 

加えて、納税額が不足していることに対する罰金として過少申告加算税が課される可能性があります。また、不正に経費の水増しをしていたとして、より税率が重くなる重加算税が課されるリスクもあるのです。

 

“水増しした領収書”はバレる?

税務調査では、領収書を1枚1枚チェックしながら申告内容が正しいかを細かくチェックしていきます。

 

まず、領収書の金額を多めに書いてもらうためには、相手に対して金額を多めに書いてほしい旨を伝えなければなりません。さらに、実際の支払い金額と異なる金額を領収書として発行してくれる取引先というと、相手は限られてくるでしょう。

 

また、領収書の金額を多めに書いてもらうという行為をする場合、できれば1枚の領収書で処理したいという考えが働くケースが多いようです。すると必然的に、収入印紙の貼付をする必要のないギリギリ5万円に満たない金額が記載されるケースが多くなります

 

そのため、さまざまな個人事業主や法人の税務調査を担当した調査官であれば、金額を多めに書いてもらったのではと疑われる領収書は、自然と目につくようになるのです。領収書を多めに書いてもらうと、税務調査時に不正を指摘される可能性が高くなります。

 

領収書の金額を多めに書くことも不正行為

領収書に「多めの金額を書いてもらうこと」は不正行為ですが、領収書に「多めの金額を書くこと」も不正な行為です。

 

たとえば、取引先が立場を利用して、本来よりも多い金額を記載した領収書を書くよう求めるケースがあるかもしれません。この場合、相手は経費の水増しを狙っていることが多く、領収書に本当の金額ではなく、多めの金額を書くことは相手の不正をほう助することになってしまうのです。

 

たとえ、大口の取引先であったとしても、ひいきの顧客であったとしても、領収書に多めに書くという行為を行ってはいけません。

 

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※本記事は、税理士法人松本の「税務調査ブログ」より転載したものです。

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