(※写真はイメージです/PIXTA)

税務調査と聞くと、「調査官は厳しくて怖い人が多いのでは」と思う方も多いかもしれません。しかし実際には優しくて物腰の柔らかい調査官が多いようです。しかし、税務調査の場では「優しい調査官」ほど警戒する必要があると言います。いったいなぜなのでしょうか。税務調査に特化した税理士法人松本の松本崇宏代表税理士が解説します。

税務調査の調査官が優しいのはなぜ?

税務調査時、調査官が怖いとそれだけで萎縮してしまうため、調査官が優しいことは納税者にとってはうれしいことでしょう。では、昨今の調査官が「優しい」といわれるのはなぜなのでしょうか。

 

強制調査と任意調査

税務調査は大きく分けると強制調査と任意調査の2種類があります。このうち、強制調査は国税局査察部が裁判所の令状を持って強制的に行う調査です。ドラマや映画などで、調査官が突然訪れ、有無をいわさず資料を押収するような調査は、強制調査に該当します。

 

一方、任意調査とは通常、税務署に所属する調査官が実施する税務調査です。任意調査を実施する前には原則として、納税者に対し、税務調査を行う旨と調査日時などを伝える事前通知が行われます。

 

一般的に、税務調査というと、強制調査ではなく任意調査を指すケースが多くなっています。

 

税務調査の調査官が怖いのはドラマや映画の影響?

税務調査の調査官というと、優しいというよりも怖いというイメージを抱く方のほうが多いようです。それはドラマや映画で強制調査の場面が描かれる際には、緊迫した雰囲気のなか、現場に突然調査官が現れるという演出がなされるケースが多いからでしょう。

 

多くの場合、調査官は厳しい表情で資料の押収などを行っています。そのため、税務調査の調査官は怖いと認識されることが多いようです。

 

税務調査の調査官が優しい理由

強制調査は、多額の脱税が疑われる場合に実施される調査です。裁判所に令状を請求していることもあり、強制調査では刑事事件として立件することを視野に入れ、調査を行います。したがって、不正な税金逃れを暴くため、厳しい調査が行われます。

 

しかし、任意調査は、納税者の同意・協力のもとで実施される税務調査です。税務調査の対象となる納税者は、なんらかの不正やミスなどが疑われる場合が多いものの、任意調査である以上、調査を進めるうえでは納税者の協力が欠かせません。

 

もし、威圧的な態度で税務調査への協力を求められた場合、納税者のなかには調査官の態度に反発を覚える人もいるでしょう。そのような場合、納税者の協力を得にくくなるため、調査をスムーズに進められない可能性があります。

 

税務調査が長引き、1つの調査に時間を取られてしまうと、ほかの納税者に対する税務調査を実施できなくなる恐れもあるでしょう。また、調査官の態度が悪い場合、税務署に対し納税者からクレームが入る可能性もあります。

 

いずれにしろ、横柄な態度で税務調査を実施した場合、調査官にとっても不利益が生じるのです。

 

かつては、態度の大きな調査官もいたようですが、そのような態度を取ると納税者にとっても自分にとってもデメリットしか生まれません。そのため、昨今では税務調査時には優しい言葉遣いや優しい雰囲気で納税者と対話をしようと心がける調査官が多いのです。

 

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相続税の「税務調査」の実態と対処方法

 

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※本記事は、税理士法人松本の「税務調査ブログ」より転載したものです。

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