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なぜ、バーは税務調査の対象になりやすい?
バーをはじめとする飲食店は、税務調査の対象に選ばれやすい業種とされています。その背景には、以下のような理由が関係していると考えられます。
現金商売であり現金決済のケースが多いから
近年、キャッシュレス決済を導入する店舗が増えてきたとはいえ、バーでは依然として現金での支払いが主流です。現金取引では、銀行振込と異なり記録が自動的に残らないため、売上伝票などをもとに帳簿に記載する際に、売上の一部について記載することを忘れてしまったり、誤った金額を記載してしまうケースが多く見られます。
また、意図的に売上を過少に記載するなど、不正行為がしやすい点も現金商売の特徴です。
不正の可能性が高い業種と見なされているから
バーを含む飲食業は、正しく申告していない可能性が高い業種として知られています。個人事業主による小規模経営から、法人化しているケースまでさまざまですが、国税庁が公表した「令和5事務年度法人税等の調査実績の概要」では、バー・クラブが法人税の不正発見割合で第1位(59.0%)となっています。
また、不正発見割合の上位には、2位:その他の飲食業、3位:外国料理と、飲食業が多くランクインしています。
税務調査は、税務署職員のうち限られた調査官が実施するため、不正の多い業種を重点的に調査することで、より効率的に正しい申告を促すことができます。したがって、不正発見率が高いバー・クラブは、税務調査の対象に選ばれやすいのです。
バーや飲食店の税務調査でチェックされやすいポイント
バーや飲食店に対する税務調査では、以下のような点が重点的に確認されます。
現金の管理方法
現金商売であるバーや飲食店では、現金出納帳とレジ内の現金残高が一致しているかが確認されます。金額に差異がある場合、その理由について詳しい調査が実施されます。
売上の計上漏れや計上誤り
伝票・領収書・売上帳などを基に、売上が正しく計上されているか細かくチェックされます。意図せずとも計上漏れが発生しやすいため、厳しく確認されるポイントです。
在庫管理と棚卸の適正性
お酒や食材などの在庫が適正に管理されているかも確認されます。仕入状況、棚卸の記録、在庫の計上漏れなどがチェックされるほか、おしぼりの発注数と在庫数との差から使用数を算定し、これを見込み客数と考えて平均客単価を乗じることで売上の整合性も検証されます。
人件費は正しく計上されているか
アルバイトを多く雇用するバーや飲食店では、実在しない人物に対する給与支払い(架空人件費)などの不正が見られることもあります。調査では、タイムカードやシフト表、履歴書などをもとに人物の実在や人件費の実態を確認します。
プライベートな費用と事業の費用を明確に区分しているか
個人事業主が運営するバーや飲食店では、私的な支出を経費として計上するケースも見られます。支出した経費が事業に直接関係するかがチェックされ、自家消費した酒類・食材などは売上として計上する必要があるため、適切に処理されているかも確認されます。
