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「年収1,000万円は高収入」の幻想
金融庁や総務省のデータでも、日本の給与所得者の平均手取りは約400万円台後半。たしかに年収1,000万円は「上位10%」に入る高水準です。
しかし、この層にかかる税と社会保険料の負担率は、実に3割〜4割超。実際、年収1,000万円の可処分所得(手取り)はおおよそ700万円前後。しかも、児童手当や高校無償化などの各種控除・補助制度から除外されるラインでもあります。
「妻は専業主婦。息子はこれから高校・大学。住宅ローンもあと20年残ってる。……これ、本当に余裕ある生活っていえるのか?」健介さんは改めて自分の家計簿を見直しました。
〇住宅ローン:月12万円
〇食費・日用品:月10万円
〇教育費(塾・教材):月7万円
〇光熱費・通信費:月4万円
〇保険料:月3万円
〇貯蓄・投資:月3万円
〇その他(交際・車など):月6万円
「うーん……。ほぼ残らないな」
一見“勝ち組”にみえる年収1,000万円世帯ですが、その実態は非常にタイト。先日の高級焼肉のクレジットカード請求も届き、食べ盛りの中学生の食欲と肉プレート、調子に乗って頼んだワインによる合計金額が苦い気持ちにさせます。家計破綻とまではいかずとも、「心の余裕」が削られていく構造なのです。
FPが教える「残念な高収入サラリーマン」への処方箋
私たちファイナンシャルプランナーのもとにも、吉田さんのように「収入は上がったのにお金が残らない」という悩みを抱える方が多数相談に訪れます。
その多くは、「昇進=生活が楽になる」という幻想にとらわれたまま、支出構造が膨らんでしまったケースです。
【1】“可処分所得”で家計管理を行う
収入の金額だけでなく、「実際に使える金額(手取り)」を基準に家計設計することが基本です。
たとえば、年収1,030万円でも、実際の手取りは約700万円。月58万円で1ヵ月をやりくりするイメージを持ち、住宅費・教育費・保険料などをその枠内で組み立てるべきです。
【2】昇進前に「ライフプラン」を作成する
昇進・昇給のタイミングは、生活設計を見直す最適なタイミングです。
〇住宅ローンの借換え検討
〇教育費のピーク時期を確認
〇保険の見直し(団信や貯蓄型保険の再評価)
〇iDeCoやNISAなどの税制優遇投資の活用
「昇進したからこそ、堅実にお金を使う」という視点が、後々の差になります。
【3】“見栄消費”をコントロールする
課長になると、部下や取引先との付き合いも増え、「ちょっといい店で接待」「スーツを新調」などの支出が増えがちです。
しかし、役職とともに生活水準を上げすぎると、貯蓄が一向に増えない状態に陥ります。本当に必要な支出か、毎月しっかり振り返ることが大切です。
