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一緒に暮らそう…涙の決断と、3つの備え
「……母さん、うちに来てくれないか」
母の入院先でそう声をかけたとき、直樹さんの目には涙が滲んでいました。直樹さんは在宅勤務制度を利用し、週に2日は自宅で働けるよう上司に相談。実家を整理し、空いていた子ども部屋を母のためにリフォームしました。
「大きな決断だったけど、後悔はしていません」直樹さんは、そう語ります。
このような“親の貧困”と向き合う際、ファイナンシャルプランナーとして筆者が勧めたいのは、以下の3つの備えです。
1.親の収支を見える化する
「年金だけで暮らしている」といっても、医療費や光熱費、保険料など、かなりの支出があります。少ない年金でやりくりするために、食費を削っているということもあるかもしれません。親が元気なうちに、収入・支出の棚卸しを行い、月単位で可視化することが重要です。
2.扶養制度や控除を活用する
直樹さんのように、親を扶養に入れることで所得税の控除(最大63万円)や、健康保険の被扶養者認定による保険料負担の軽減を受けられるケースがあります。条件に合致するかどうか、税理士やFPに相談してみるのが確実です。
3.地域の高齢者支援制度を確認する
各自治体では、『食事提供サービス』『買い物支援』『見守り訪問』など、多様な高齢者支援制度を設けています。知らないだけで、活用できる制度があるかもしれません。親を引き取る前に、地域の力を借りることも検討しておきましょう。
「迷惑かけたくなかったんだけどね……ありがとう」
「迷惑なんかじゃない。家族なんだから、当たり前だよ」
親を支えるうえでの負担は、経済的なものだけではありません。心の準備と情報の備えがあるだけで、選択肢は広がります。老後の“静かな崩壊”を防ぐには、今日というタイミングがなによりも大切です。あなたの家族のために、いまできる一歩から始めてみませんか?
波多 勇気
波多FP事務所
代表ファイナンシャルプランナー
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