誰もが他人事ではいられない…介護の現状
長寿化が進む日本では、誰もが介護の当事者になる可能性があります。まずは介護の実態をデータから見ていきましょう。
公益財団法人生命保険文化センターの資料によると、年代別人口に占める要支援・要介護認定者の割合は年齢を重ねるごとに増加し、80代以降では実に85.5%の人が支援や介護を受けている計算です。
【年代別人口に占める要支援・要介護認定者の割合】
・40~64歳:0.4%
・65~69歳:2.9%
・70~79歳:5.8%
・75~79歳:11.8%
・80~84歳:26.0%
・85歳以上:59.5%
※出典:生命保険文化センター資料<厚生労働省「介護給付費等実態統計月報」/2023年9月審査分、総務省「人口推計月報」/2023年9月確定値をもとに作成>
また、多くの場合、介護はすぐには終わりません。生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(2021年度)」によると、平均介護期間は5年1ヵ月(61.1ヵ月)。ボリュームゾーンは「4~10年未満」で、「10年以上」と答えた人も17.6%に上ります。
【介護に要した期間】
・6ヵ月未満…3.9%
・6ヵ月~1年未満…6.1%
・1~2年未満…10.5%
・2~3年未満…12.3%
・3~4年未満…15.1%
・4~10年未満…31.5%
・10年以上…17.6%
・不明…3.0%
出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(2021年度)」
さらに、同調査によると、介護に要した費用について「一時的な費用」の平均が74万円。月々の費用の平均は8.4万円。仮に介護期間が、先ほどご紹介した「平均的な介護期間 5年1ヵ月(61.1ヵ月)」だった場合、以下の金額がかかることになります。
【平均的な介護期間5年1ヵ月(61.1ヵ月)から算出すると】
①一時的な費用:74万円
②月々の費用:8.4万円×61.1ヵ月=約513万円
①+②(介護費用合計):約587万2,000円
また、LIFULL seniorによる「介護の実態および意識に関する調査(2022年)」によると、親の介護の担い手として最も多いのは長男、次いで長女。その次が配偶者です。
【(介護経験がある人へ)親の介護を誰がメインで行ったか】
・長男:29.1%
・長女:20.2%
・親(被介護者)本人の配偶者:14.8%
・次女:10.3%
・次男:8.9%
・長男の配偶者:8.4%
・三女:2.0%
・その他:2.0%
※出典:LIFULL senior「介護の実態および意識に関する調査」
未婚の子どもが「手が空いている」と見なされ、介護を引き受けざるを得ないケースも少なくありません。特に親と同居している場合、その傾向が強まります。
いずれにしても、誰がメインで面倒を見るかはとても重要です。介護の現場では、身体的・精神的負担、金銭面の負担が家族間の亀裂を生む要因になることも少なくありません。