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相続税の起算点となる「知った日」
相続税法では、その申告期限を「相続または遺贈により財産を取得した者は、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に、相続税の申告をしなければならない」と定めています。
「相続の開始があった日=亡くなった日」ではなく「その相続の開始があったことを知った日」が基準日となっているのですが、日付が明確な「亡くなった日」と違い、「知った日」という表現はだいぶんぼんやりしています。ぼんやりしているがゆえに争いになることもあるのですが、今回は、本人の主観も影響しそうなこの「知った日」について国税不服審判所が判断を下した事例(令和5年1月24日裁決)を紹介します。
申告遅れで無申告加算税が課されることに
Aさんは亡くなる前に「法定相続人ではない甥に土地や建物、現金などを遺贈する」という旨を記載した遺言状を作成していました。遺贈というのは遺言によって、財産を相続人以外の人に引き継がせることをいい、遺贈により財産を取得した人を受遺者と呼びます。
Aさんが亡くなったあと、甥は遺言どおりにそれらの資産を取得しました。甥は相続人ではないのですが、財産を取得しているため相続税の申告義務が生じていました。しかし甥は、遺贈された財産の範囲や評価が確定していなかったこと、納税資金が手元になかったことなどの理由から、Aさんが亡くなってから14ヵ月目に相続税の申告をしました。
税務署から見れば、これは原則的な期間内に申告がされなかったものであり、ペナルティとして無申告加算税の賦課処分をすることとなります。しかし甥はこの処分に納得せず、両者は国税不服審判所で争うこととなりました。
